新型コロナウイルスの影響で、家計や企業業績が圧迫される状況にあって、増税の回避と減税期間の延長は、やむを得ないのかもしれない。

 きのう決まった来年度の与党税制改正大綱は、本来なら増額されるはずだった固定資産税を、本年度と同じ額にとどめるなど、納税者の負担感への配慮がうかがえる内容になった。

 来年度当初予算の総額は、105兆円を上回る過去最大規模に膨らむ可能性がある。増税しないのであれば、税収がさらに足りなくなる。

 その分は、国債の発行に頼るしかない。国の財政基盤が一層もろくなることを、政府・与党は覚悟しておかねばなるまい。

 大綱には、ポストコロナをにらんで、菅義偉政権が看板政策に掲げるデジタル化や脱炭素化を推進する措置が盛り込まれた。

 企業が、経営にIT技術を浸透させるデジタル化に投資した場合は、法人税を軽減して、業務の改革を促す。

 車検時の自動車重量税を優遇する「エコカー減税」は、来年5月から2年間延長する。また、脱炭素化に対応して、自動車税制を2年後にも見直すと明記した。

 ただ、こうした誘導策があるからといって、設備投資や消費が必ず喚起されるとはいえない。恩恵を受ける人が、限られる場合もありそうだ。その効果については、きちんと検証しておきたい。

 大綱のマイナス面にも、目を向けておくべきだろう。

 固定資産税は、今年1月1日時点の公示地価を基準に、算定される。昨年までの訪日客の増加で宿泊施設が進出したところなどは地価が上昇し、増税となるのは確実だった。

 ところが、その後のコロナ禍を受けて、据え置きとなった。

 市町村の税収の約4割を占める主要財源である。自治体の財政悪化を増幅しないか懸念される。

 土地関係ではほかに、住宅ローン減税の受けられる住宅の床面積の要件緩和が盛り込まれた。

 狭い物件に減税を適用すると、都心にも住みやすくなる。感染拡大の際に避けたい過密や、東京一極集中を助長する恐れはないのだろうか。

 政府の総合的な配慮が、必要とされよう。

 大綱は、格差を是正する公平で簡素な税制を真っ先に追求すべきだ。それが今後の検討課題とされたのは、残念というしかない。