カカオの香りが漂う立体に織られた反物や着物(9日、京都市上京区・京香織)

カカオの香りが漂う立体に織られた反物や着物(9日、京都市上京区・京香織)

 チョコレートの原料カカオを使った染料で染め上げた着物を、京都市上京区の着物デザイナーの男性が完成させた。柄が立体的に浮かび上がり、甘い香りが漂う。栃木県産イチゴで染めた着物とともに、12日に香港で開かれる「日本秋祭in香港」の開幕イベントで披露する。

 着物制作会社を経営する冨田伸明さん(55)。日本の伝統技術を発信しようと、以前からカカオなどの食べ物や金箔(きんぱく)の染料で着物を染め、世界各地で紹介してきた。

 新作の着物は、真珠やカカオの粉末を混ぜた染料と、厚みを増やした型を使って正倉院文様を2色で染めた。2年前にカカオで作った着物と比べ、柄が立体的になり、香りが強くなった。イチゴ染めはイチゴ15キログラムを煮出して4色の染料を作った。ハスの花をモチーフに色を重ねて染め、立体感を出した。

 着物は香港で披露された後、イタリアやマルタ、スロベニア、クロアチアのイベントや、フランスの日仏友好160年記念イベントで紹介される。

 また同じ生地を使ったスカーフや髪の留め具を、長女の真由さん(29)が作り、15日まで大丸京都店(下京区)の催事で販売する。

 冨田さんは「着物は世界で注目されている。職人の技術の素晴らしさを再認識してほしい」と期待している。