感染の拡大が気掛かりだ。

 鳥インフルエンザが西日本各地で猛威を振い、東近江市の養鶏場でも確認された。滋賀県内での感染確認は初めて。県内の養鶏業界にとって衝撃は大きいに違いない。国や自治体は警戒を一層強め、迅速に防疫措置を徹底してまん延抑制に全力を挙げてもらいたい。

 県によると、12日に同市の養鶏場から50羽以上の鶏が死んだとの通報があった。鳥インフルの検査をした結果、死んだ鶏から高病原性の疑いがあるH5型を検出。飼育されていた採卵用の鶏1万羽余りを殺処分した。

 県は感染地から半径3キロ圏内を卵や鶏などの持ち出しや持ち込みを禁じる「移動制限区域」に、半径10キロ圏内を「搬出制限区域」にそれぞれ指定し、14日までに一連の防疫措置を終えた。

 農林水産省も疫学調査チームを現地に派遣した。県や専門家らと連携し、感染経路の分析と有効な対策策定を急いでもらいたい。

 県内では45戸が計約42万羽を飼育している。鳥インフルを封じ込めるには初動が重要である。

 国内では2010~11年、16~17年にも流行し、「他山の石」とすべき事例は多い。教訓を踏まえたマニュアルに沿って、他の養鶏場でも消毒の徹底はもとより、鶏舎の防鳥ネットや施設に不備がないか再点検するなど、念には念を入れる必要があろう。

 今冬は鳥インフル感染が勢いを増している。11月5日に香川県で確認されて以降、養鶏場での感染は福岡や兵庫、宮崎、奈良、広島、和歌山、大分、岡山と続き、滋賀で10県目となった。

 国内では約3年ぶりの流行だが、香川や宮崎では感染拡散が相次ぎ収束を見通せない。殺処分数は過去最多となっている。

 鳥インフルの主な感染源は渡り鳥とみられており、農水省は「全国のどこで発生してもおかしくない状況だ」(野上浩太郎農相)と警戒する。ウイルスを運ぶ渡り鳥が帰巣する来年5月ごろまで対策が欠かせない。

 京都府では04年に丹波町(現京丹波町)で国内初の大規模感染があり、対応が後手に回った苦い経験がある。くれぐれも油断は禁物だ。感染抑制に向けて先手を打ち、農家への情報提供と支援を強めてほしい。

 国内で鶏肉や鶏卵を食べた人への感染は確認されていない。消費者には冷静な対応を求めたい。正しい知識を広め、感染防護に万全を期すと同時に、風評被害を防ぐことも重要である。