高校を卒業するまでの18年間を僕は石川県の小さな町で過ごした。周りを田んぼに囲まれたその町から少し自転車をこいだところに当時は珍しかった本やCDも売っているTUTAYAがあり、その逆の方向には今でもたまに恋しくなる大きな新しい図書館があった。その二つが僕にはとても大事な場所だった。

 それ以外は、大きな夕日と海と月がよく見えて夜になるとミニチュアのように見える一軒家がそこにあった。自分がなにかを作る人になりたいのなら、いつかはこの町を出ていかなきゃいけないんだろう、ということは高校生になったぐらいの頃からなんとなく気づいていた。

 当時の僕の生活にはインターネットもそんなに身近じゃなかったし、今のようにパソコンさえあればどこでも音楽を発信できるような時代になるにはまだ少し時間が必要だった。ただ、東京に出ていく自分の姿はなぜか想像できなかった。

 それよりも僕がぼんやりと憧れていたのは京都という街だった。くるりやキセルが生まれた街、というぐらいしかイメージはできなかったけれど、なぜだかそこに行けば自分がなにかを始められるような、そんな気がした。