本来は要らない睡眠導入剤成分の混じった医薬品が、出回ってしまった。

 服用した入院中の70代女性が、亡くなったという。

 回収を急ぎ、被害が広がらないようにしなくてはならない。

 混入があると分かったのは、福井県あわら市の製薬会社「小林化工」が製造した爪水虫などの治療薬イトラコナゾール錠50「MEEK」である。

 同社は、女性の死亡と服用の因果関係を調べるとともに、自主回収を進めている。また、処方された360人余りを特定し、服用をやめるよう求めた。

 当然の措置であろう。ほかにも被害がないか、いま一度、調べてほしい。

 県によると、処方された人がいるのは、京都、滋賀を含む31都道府県に及んでいる。

 これまでに、130件を超える健康被害が報告された。意識や記憶を失って、救急搬送されたり、入院したりした人がいる。自動車を運転中に、事故を起こしてしまった例もある。

 服用すると、危険極まりない状態に陥る。患者自身も、注意を怠ってはならない。

 早急に、原因を究明する必要がある。

 小林化工は、担当者が7月ごろに、製造の過程で原料を継ぎ足した際、主成分の入った小型缶と、睡眠導入剤成分の大型缶を取り違えたとしている。

 継ぎ足しは、厚生労働省の承認を得ていない工程である。同社の規定では、2人態勢で作業を行うが、当時は徹底されていなかったとみられる。

 さらに、出荷前の品質検査で、異物混入のデータが出ていたのに見過ごし、今月の再分析でようやく気付いた。

 大きな過失を、重ねていたことになる。

 同社は、第三者に依頼して原因究明と再発防止に努めるとする。この際、他の製品の工程でも不備がなかったか、確かめておくべきだろう。

 今回、混入が明らかとなった治療薬は、ジェネリック(後発)医薬品である。

 業界団体の日本ジェネリック製薬協会は「医薬品の信頼を大きく揺るがすもので、協会全体に関わる重大な問題と受け止めている」とのコメントを発表した。

 会員のメーカーに製品の安全管理を徹底させながら、業界としても有効な対策を打ち出してもらいたい。