今後の青葉被告の刑事手続き

今後の青葉被告の刑事手続き

青葉真司容疑者(2019年7月16日、宇治市内)

青葉真司容疑者(2019年7月16日、宇治市内)

 36人の命を奪い、32人に重軽傷を負わせた京都アニメーション放火殺人事件で、京都地検は16日、青葉真司被告(42)を殺人罪などで起訴した。未曽有の事件が引き起こされた背景に、何があったのか。発生から1年5カ月、真相解明の舞台は法廷に移される。

 青葉真司被告の初公判はいつになるのか。専門家は、事前に争点や証拠を絞り込む公判前整理手続き自体は「さほど長期化しない」とみる。だが弁護側の請求に基づいて裁判所が改めて精神鑑定を行う可能性があり、裁判員裁判が始まる時期は見通せない。

 一般に犠牲者が多い重大事件は証拠の量も膨大で、公判前手続きは長引きやすい。入所者ら45人が殺傷された相模原市の障害者施設殺傷事件では、計36回の手続きや打ち合わせを重ね、起訴から初公判まで2年10カ月余りを要した。神奈川県座間市の9人殺害事件でも計25回、2年かかっている。

 ただ、京アニ事件で殺害の実行行為とされるのは1件の放火のみ。約30件の裁判員裁判を審理した元裁判官の片田真志弁護士(大阪弁護士会)は「複数の実行行為を審理する事件と違って、手続きはそれほど長期化しないのではないか」とみる。弁護側が殺意を否認する意向を示した場合でも、「放火したことに争いがなく、故意性の判断だけなら手続きが長引く理由にならない」と説明する。

 一方で、公判で最大の争点と見込まれるのが青葉被告の刑事責任能力の有無や程度だ。地検が実施した精神鑑定の結果を弁護側が不服として、改めて鑑定を請求することも想定される。裁判所が認めた場合、再び数カ月に及ぶ鑑定が行われる。

 36人という犠牲者数から死刑求刑の可能性が高いとみられる。片田弁護士は「裁判所も審理を尽くすために鑑定を認める可能性がある。引き受ける医師の重圧は大きく、鑑定医を探すために一定時間を要するかもしれない」と話す。

 公判では被害者参加制度に基づいて遺族らが加わることも予想され、公判前手続きではその調整にも時間が必要となる。どれほどの遺族が参加するのかも、初公判の時期に影響しそうだ。