2050年までの温室効果ガス排出量の実質ゼロ達成に向け、政府は民間企業との協議会で、洋上風力発電の能力を40年に最大4500万キロワットまで高める新たな目標を決めた。

 原発45基分に相当し、実現すれば欧州連合(EU)、中国に続く世界3位の規模になるという。

 洋上風力は陸上と違って風が安定して吹き、海に囲まれた日本では適地が多いとされる。

 ただ、政府はこれまで風力発電に熱心でなかったため、洋上風力のメーカーが育っておらず、普及に向けては関連産業の育成など課題が多い。

 再生可能エネルギーの主力電源化には、太陽光に比べて立ち遅れている風力の活用が不可欠だ。普及に向けた環境整備を急ぎたい。

 新目標は「洋上風力産業ビジョン」としてまとめられた。

 現在の洋上風力発電能力は2万キロワットほど。今月初めの政府の成長戦略会議で40年までに3千万キロワットを目指すとしたが、脱炭素化に向け3千万~4500万キロワットに拡大した。

 国内9地域に分け、北海道、東北、九州の3地域で全体の8割を占める導入目安も提示した。東京圏や関西圏など大消費地から遠いため、送電方法を今後検討する。

 洋上風力で先行する欧州は遠浅の海域が広く、風車の土台を海底に固定する「着床式」が主流。日本は近海の水深が深いため、海に浮かべる「浮体式」が適しているとされるが、問題はコストだ。

 残念ながら政府が12年から福島県沖に設置し、民間への譲渡を模索していた浮体式施設は採算が見込めず撤去されることになった。

 ビジョンでは、着床式のコストを30~35年までに火力発電より安くする目標を掲げたが、4500万キロワットの達成には、浮体式の大幅なコスト低減が避けられまい。

 洋上風力発電は関連部品の点数が1万~2万点と多く、大きな経済波及効果が期待されている。

 政府は企業参入を促すため、民間任せだった風や地質の調査、漁業者との調整などを政府主導で行う仕組みを導入し、補助金や税制で設備投資を後押しする方針だ。

 洋上風力発電を巡っては19年に施行された普及法に基づき、現在、秋田、千葉、長崎の計5区域で事業者の公募手続きが進み、大手電力や外資系企業が手を組んで参入を目指している。

 ようやく本格化し始めた普及の動きを加速させ、大きなうねりにできるか。政府のリーダーシップが問われよう。