シェアハウスに生まれ変わった「京都下鴨修学館」の住人ら。世代や職業などはさまざまだ(京都市左京区下鴨)

シェアハウスに生まれ変わった「京都下鴨修学館」の住人ら。世代や職業などはさまざまだ(京都市左京区下鴨)

個室が並ぶ2階。複数人でシェアしている部屋が多い

個室が並ぶ2階。複数人でシェアしている部屋が多い

 京都市左京区下鴨で、半世紀近く学生寮だった建物が今秋、装いも新たに特色あるシェアハウスに生まれ変わった。住人の年齢や職業、背景はさまざま。「拡張家族」という一風変わったコンセプトの下、ともに生活し、対話を重ねることで、人間関係や固定観念を問い直す―。そんな小さな「社会実験」の場でもある。

 柔らかな陽光が差すリビングで男女が談笑し、廊下では子どもの元気な声が響く。閑静な住宅街に立地する木造2階建ての「京都下鴨修学館」。幅広い年齢層の約40人が暮らし、会社員や学生、カメラマンや職人など肩書も実に多彩だ。

 2歳の女の子に、母親(25)とともに優しいまなざしを向けるのは、同館で生活全般の調整を担う「コミュニティマネージャー」の山倉あゆみさん(42)。新潟出身でまちづくりなどに携わる傍ら、社会規範に縛られがちな従来の家族像に疑問を抱き、より多様で自由な在り方を追い求めてきた。大切にするのは「拡張家族」というコンセプト。「まず相手を家族だと思ってみることで、いろんな問いを生み出す小さな社会実験」と説明する。

 一つ屋根の下、女の子と遊んだり、保育所に持っていくお弁当を作ったり。他の住人たちも昼夜関係がない育児の大変さを実感する一方、言葉がどんどん増えていく姿に目を丸くし、初めてお箸を使った時は食卓で歓声が起こった。

 夫が仕事で忙しい時など1人で育児に悩むこともあったという母親は「ここでは多くの人が娘の成長を見守ってくれてうれしい。いろんな人がいて、いろんな生き方の選択肢があることを親として伝えたい」と思いを込める。

 この親子に限らず、互いに生活スタイルは異なり、本来なら接点も乏しい。だからこそ、と山倉さんは強調する。「一緒に暮らす中で誰かの問題や問いに気付き、自分事として何ができるか考えるようになる。否定や排除ではなく、違いを受け止め、世の中が少しでも優しくなればうれしい」