国会議事堂

国会議事堂

 菅義偉首相の「高級ステーキ会食」がメディアをにぎわせている。

 観光支援事業「Go To トラベル」の全国一時停止を表明した14日夜に、一国のリーダーが取った行動に批判が集まっている。感染症を拡大させないため、自らの行動を律し、政府の方針を聞き入れている多くの国民からすると、裏切られた思いになる。

 「国民にとって当たり前の感覚を大事に」。そう言っていた庶民派宰相の矜持(きょうじ)は、どこへいったのか。国民からの批判には失望も含まれているだろう。

 コロナ禍での非常識な行動と言ってしまえばそれまでだが、今回の一件は、永田町にはびこる世間の感覚とのずれが背景にある気がしてならない。

 昨年の秋に国会取材を始めて驚いたのは、本会議場の出入り口の脇に立派な喫煙ブースが設けられていたことだ。受動喫煙防止の流れを受け、役所でもオフィスでも、喫煙スペースは廃止されたり、縮小されて端っこへ追いやられたりしているにも関わらず、いまだ議場の「一等地」にある。

 今年の夏、野党第1党の代表が記者会見で、禁止されている議員会館の自室での喫煙を指摘され、詫びたこともあった。野党も、清廉潔白ではない。

 議員会館の食堂には議員専用の席があり、食券売り場に並ぶ必要もない。JRは乗り放題のパスが配られ、新幹線もグリーン車に乗れる。特権意識が生まれる土壌が確かに存在する。

 国民の政治不信を一層高めた「高級ステーキ会食」。首相の罪は重い。