解体修理の際に若冲の墨書きが確認された「石燈籠図屏風」(京都市東山区・京都国立博物館)

解体修理の際に若冲の墨書きが確認された「石燈籠図屏風」(京都市東山区・京都国立博物館)

 江戸時代中期の絵師、伊藤若冲(1716~1800年)が描いた晩年の代表作「石燈籠図屏風(びょうぶ)」で、制作年や発注者を示す可能性のある墨書が修理で見つかったと、京都国立博物館(京都市東山区)が12月18日発表した。墨書の一部は自筆で見えない部分に記し、「若冲居士」との朱印まで捺され、絵師の強い思い入れを示す痕跡とみている。

 墨書は2018年度まで2年間の全面解体修理で見つかった。外縁の枠木に「天明三年 上京黒門通中立売上ル 柴田宇兵衛作」と表具師とみられる住所と名が、右隻(うせき)の上部と下部に1カ所ずつあった。同年(1783年)は若冲68歳で存命中のため、修理に伴うとは考えにくく、制作年を示す可能性が高い。さらに、枠木と本紙の間にある縁裂をはがすと、「生島子石画後々余遇也」と記されていた。筆跡や朱印から若冲の自筆と分かり、生島が発注者、石画が作品を示すとみられる。

 若冲は錦市場の出身で、「動植綵絵(どうしょくさいえ)」など精緻な花鳥画で知られるが、晩年は深草・石峰寺門前に住して新たな画風にも取り組んだ。「石燈籠図屏風」はここに近い稲荷山の眺望との説があり、墨の点描で石灯籠を主題にして描くという独創性を特徴にしている。

 京博の福士雄也主任研究員は「名を示す落款があるのに、見えない部分にまで自らの墨書と印を残したことになる。同時代の絵師の作品や若冲の他作品にはない例で、それだけ特別な作品だったのだろう」と話している。

 石燈籠図屏風は12月19日から京博で始まった特別企画「文化財修理の最先端」(京都新聞など主催)で展示。1月31日まで。有料。