教育界の長年の悲願がようやく一歩前進した。

 公立小学校の35人学級化が、来年度予算を巡る文部科学省と財務省の大臣折衝で決まった。きめ細かな教育の実現や教員の負担軽減につなげてもらいたい。

 1学級当たりの上限人数は義務教育標準法で定められ、1980年度に45人から40人になった。民主党政権下の2011年度から小1のみ35人に引き下げられたが、財政難を理由に小2~中3は40人に据え置かれたままだった。

 一律引き下げは約40年ぶりで、来年度に小2を35人とし、5年かけて段階的に引き下げ、25年度に全学年で35人学級となる。

 経済協力開発機構(OECD)の各国平均で1学級の人数は21・4人と少なく、教育現場からの少人数化の要望は根強かった。財務省は文科省の再三の要求を退けてきたが、今回は新型コロナウイルスの感染拡大が後押しとなった。全国一斉休校後、教室での「3密」を避けるため、少人数化実現の機運が高まっていたからだ。

 発達障害のある児童や外国籍の児童が増え、40人近くを教員1人で丁寧に指導するのはより難しくなっているという。加えて教員は英語や情報通信技術(ICT)といった新たな取り組みも求められ、業務は増える一方だ。少人数化は遅きに失した感が強い。

 教員の大量退職で新規採用者が増える中、いかに優秀な人材を確保するかが、35人学級の成否を左右する。小学校教員採用試験の倍率は全国平均2・8倍(19年度)と過去最低水準に落ち込み、質を保てるか懸念される。

 教育や指導に加え、事務仕事や保護者への対応など教員業務の過酷さが敬遠されるのであろう。処遇改善を急ぎ、教員のなり手拡大にも手を打たねばならない。

 そもそも文科省は中学校を含めた30人学級化を求めてきたが、小学校は上限35人にとどまり、中学校は40人学級が維持される。

 公立小では、既に35人以下の学級が9割以上を占め、多くの学校で実質的に35人学級化が進んでいる。

 一方、公立中は36人以上の学級がなお26%残る。財務省は小学校だけなら教員数が大きく増えず、財政負担増は少ないと判断し、文科省要求を受け入れたとみられる。だが、中学校の現状をこのまま看過するわけにはいかない。

 財政は厳しいとはいえ、子どもたちの教育は未来への投資と考えたい。30人学級化を含め、教育環境の改善は急務と言えよう。