おっと、危ない。バスから降りて、横断歩道を渡ろうとしたら、バスの陰から車が走ってきて…。

 そんな怖い思いをしたことはありませんか。

 国土交通省は、信号機のない横断歩道の直近に位置し、バスが停車すると車体が横断歩道にかかってしまうバス停を、「特に危険性が高い」にランク付けしています。全国に少なくとも2千カ所もあるとは驚きです。

 このほか、バスが交差点にかかるか、横断歩道か交差点の前後5メートルの範囲にかかる場合を「危険なバス停」としています。国交省は全国40万あるバス停を調査中です。

 こうしたバス停では、停車したバスが死角になって交通事故を誘発しかねません。普段は意識しないかもしれませんが、実際に痛ましい事故は起きているのです。

 一昨年8月、横浜市のバス停で、横断歩道をまたいで停車したバスから小学5年の女児が降り、そのバスの後ろから道路を渡ろうとして対向車にひかれ、亡くなりました。バスの後ろが車の死角になっていたのです。

 危険は身近に潜んでいるのではないでしょうか。

 京都市交通局の調査で、市バスのバス停1618カ所のうち、「危険なバス停」は296カ所に上ることが分かりました。

 この中で特に危険性が高いのは15カ所です。この5年間で市バスが関係した人身事故はゼロということですが、バスが死角となって起きた事故まではつかんでいないといいます。

 市交通局はとりあえずの対策として、危険なバス停には横断時の注意を促す文書を掲示し、特に危険なバス停ではバスが止まる位置をずらして安全を図るよう指示しているそうです。

 事故が起きてからでは遅く、抜本的な対策を急ぐ必要があります。危険度によって優先順位を付けて進めたいところです。バス停や横断歩道を移すとなれば、地元の人たちの理解、協力が欠かせません。

 この際、バス停の安全について、根本から見つめ直してはどうでしょうか。

 バスを降りる高齢者が、路面との高低差に難儀している光景を見かけます。バス停にバスが横付けできず、歩道と距離ができる所もあります。バスの床を低くし、降りる側に傾けるなど改善が進んでいますが、せっかくのバリアフリーが生かされない場面も見られます。

 バスが横付けしやすい構造にしたバス停や、歩道より高くした「バリアレス縁石」の導入で、高齢者が降りやすくしたバス停も設けられてきています。

 バス停でのつまずきや転倒など、小さな事故(インシデント)を見過ごさないことで、大きな事故を防ぎたいものです。運転手や利用者が気づいて、事業者に伝える仕組みがあっていいと思います。

 超高齢社会となり、運転免許証を返納した年配者のバス利用も増えるでしょう。高齢者だけでなく障害者や妊産婦ら、みんなが安心して乗り降りするバスが求められます。