男性看護師が病院で業務をする際に身に着けている防護服。着脱に時間がかかり手間が増えているという(京都市内)

男性看護師が病院で業務をする際に身に着けている防護服。着脱に時間がかかり手間が増えているという(京都市内)

 新型コロナウイルスの感染拡大で医療体制が逼迫(ひっぱく)し、看護師ら医療従事者の負担増加が全国的な課題となっている。感染者を受け入れている京都市内の総合病院の看護師2人が取材に応じ、自身が感染者になって他の患者や自分の家族に広げてしまうことを心配したり、家庭生活を犠牲にしたりしながら医療体制の維持に当たっている実情を語った。

■トイレ掃除も看護師が

 「自分が感染し、無症状のまま別の患者さんにうつさないかと常に気を使っている」。新型コロナの陽性患者に対応している20代女性看護師が語った。寝返りできない患者の体位を変える際は密着せざるを得ないなど業務は緊張を強いられるという。

 業務量も増えている。陽性患者が入院する一帯の「レッドゾーン」内のトイレや床の掃除は清掃業者でなく看護師らが担わされるようになった。身の回りの世話が必要な高齢者らの陽性患者が入院してくると仕事の余裕がなくなってくるという。唾液を使うPCR検査機器の導入で検査数が増え、陰性が判明するまでの患者に対応するのにも着脱に時間がかかる防護服の徹底などが求められるため、手間や仕事が増しているという。

 陽性患者が亡くなった時は心が痛んだ。「家族はご遺体が納体袋に入れられ、チャックを閉める寸前にドア越しから会えただけ。一番悲しいのは本人やご家族だがスタッフもつらかった」と明かす。

■家族への感染懸念、退職も

 同じ病院に勤務する30代男性看護師は家庭生活への影響を語った。自分が感染して妻や小学3年生と6年生の子どもにうつす事態を避けるため、5月から病院の寮に入った。3~5月の休校時は妻子3人が自宅を離れて実家で過ごしていたため、10月に自分が自宅に戻るまで半年間以上も一緒に生活できなかったという。

 「自宅に服を取りに行く時は玄関の前に置いてもらい、それを持って帰った。家族とは窓ガラス越しに会えるだけで、子どもは『行かないで』と泣いていた。他の家と違って夏休みにどこにも連れていけなかったのがつらかった」と振り返る。同僚の看護師は家族への感染を懸念して11月末に退職したという。

 励みになるのは感謝の言葉を掛けられた時だといい「近所の人から『みんなのために頑張ってくれてありがとう』と言われエネルギーになった」。ただ処遇面は厳しく、ボーナスは今冬は前年並みだったが今夏は大幅減少した。男性看護師は「コロナ検査の診療報酬を引き上げるなど国は医療現場のことをもっと考えてほしい」と訴えた。

■「感染しない」最大のエール

 京都府看護協会の中島すま子会長の話 京都の病院も医療体制が逼迫しつつある。看護師など職員が感染し、その濃厚接触者も休むことになり人員がぎりぎりになっている所もある。陽性患者が入院すると、業務が増えたり夜勤体制の変更が必要になったりする。負担が増え、緊張感も高く精神面でも疲れている。感染していないのに子どもを保育園に預けられなくなるなど偏見や中傷に遭ったとも聞いた。住民一人一人が感染しないことが医療現場へのエールになる。看護師は高い使命感を持ち、今まで以上に働いているが、コロナによる受診控えなどで病院の収益は悪化している。国はもっと正当に評価してほしい。