エンゼルハウスの愛称でも親しまれた旧京都こども文化会館(京都市上京区)

エンゼルハウスの愛称でも親しまれた旧京都こども文化会館(京都市上京区)

 旧京都こども文化会館(京都市上京区)の閉館を決定した協議に関する議事録を京都府と京都市が公文書として残していないことが、市民団体の情報公開請求などで分かった。府と市が「府市協調のシンボル」として共同管理してきたが、閉館決定に至る協議内容は記録されておらず、市民団体や有識者は「閉館は重要事項。協議した過程と内容が分かるよう保存すべき」と指摘している。

 同館は1982年、市が市電車庫跡の土地を提供し、府が建設した。3階建て、延べ床面積4600平方メートル。約600人収容のホールを備え、子どもらが音楽や演劇などを発表する場として活用されてきた。だが、府と市は今年5月、建物が老朽化し、改修には多額の費用が必要になることなどを理由に閉館を決定した。

 市民団体「公的・文化施設のあり方を考えるネットワーク」(上京区)のメンバーが10~11月、府と市に対し、同館の廃止を決定した会合(会議)の議事録などについて開示請求したが、府は閉館方針を公表した際の文書のみを開示した。市は「廃止を決定した会議の議事録は作成していない」とし、文書は「不存在」と回答した。

 府と市は京都新聞社の取材に対し、閉館を決めるに当たり、府健康福祉部長と市子ども若者はぐくみ局長ら幹部職員が2018年度に2回、19年度に15回、20年度に1回の計18回にわたって非公開の協議を行ったとする。最終的に協議結果を西脇隆俊知事と門川大作市長に報告して閉館が決まった。

 議事録を残していない理由について府幹部は「老朽化の調査を行い、それに基づいて市と協議した。協議を文書に残すことは頭になかった」、市幹部は「協議の内容を残す必要性について意識しなかった」と説明している。

 同ネットのメンバーは「府と市の協議の実態が市民には分からない状況だ。子どもたちが文化芸術を親しむ場のあり方をどう検討したのか分からず、検証のしようがない」と問題視している。