後半、モールで押し込まれる日本(味の素スタジアム)

後半、モールで押し込まれる日本(味の素スタジアム)

 長い日本の旅路が終わった。世界の頂点を経験している南アフリカに屈したものの、80分間を堂々と戦い抜いた。ジョセフ・ヘッドコーチは「20点以上の差があっても諦めず、立ち上がって試合をした。このことはW杯が終わっても忘れません」と選手をねぎらい、穏やかな表情を浮かべた。

 4万8831人がスタジアムを埋めた準々決勝。9月の壮行試合で7-41と敗れた相手に対し、前半は3-5。数々のピンチを瀬戸際で踏ん張った。1次リーグを全勝で突破した自信と誇りがプレーを支えた。

 「南アフリカがFWでプレッシャーを掛けてくるのは想定通りだったが、壮行試合とは別のチームに感じた。相手が一枚上手だった」と松田(パナソニック、伏見工業高-帝京大出)。スクラムやモールなどFWのパワープレーで劣勢に立ったが、日本の代名詞となった2人がかりの「ダブルタックル」で食い止めた。「しっかり前に出て、一番強い姿勢で入る」と坂手(パナソニック、京都成章高-帝京大出)が掲げていた通り、試合終了まで体を張り続けた闘いが4年間の成長を物語った。

 目標に掲げた決勝トーナメント進出を成し遂げ、世界ランキングも過去最高の6位(19日時点)にまで上昇。1次リーグでは前世界ランク1位のアイルランド、前回完敗したスコットランドを破った。世界からの注目度も急上昇した。

 ジャパンの試合は国民の関心事となり、まちかどで老若男女がラグビーを語り始めた。SH田中(キヤノン、伏見工高-京都産業大出)は「ラグビー人気」を「文化」に変えたいと訴えてきた。「今大会ですごく大きな声援をいただいて、自分が夢に描いていた景色を見ることができた。文化として定着する一歩を踏み出せたと思う。これからも若い選手たちがハードワークを続けていってもらえれば」。夢は限りなく広がっている。その可能性を大きく引き上げたジャパンに、いまは拍手を送りたい。