ウイルスとの闘いの困難さを改めて思い知らされる。

 英国で感染力が強いとされる新型コロナウイルス変異種が急速に広がっている。英政府は、首都のロンドンなどで事実上の「ロックダウン(都市封鎖)」に踏み切った。

 変異種は他の欧州諸国やオーストラリアなどでも確認された。英国からの旅客便受け入れを一時停止するなど、40以上の国と地域が入国制限に動いている。

 世界保健機関(WHO)は「現時点で重症率を上げるという証拠はない」と説明する。と同時に、感染拡大への強い警戒感を示し、各国に対策強化を訴えている。

 日本での確認例はないが、変異種が入り込めば渦中の感染「第3波」に追い打ちをかけ、より対応が困難になりかねない。水際対策の再点検と徹底が求められよう。

 警戒すべきは、変異種の感染力だ。ジョンソン英首相は、従来のウイルスより「最大70%高いとみられる」と警告。9月に出始め、10月に変異種と確認されたばかりだが、ロンドンでは今月上旬までに新規感染者の6割超を占めるほどのまん延ぶりだ。世界に広がれば、既に7600万人を超えた感染者が一層急増する恐れがある。

 そもそも、ウイルスは人への感染を繰り返すうち感染力を増したり、薬への耐性を持ったりして変異するのは珍しくない。実際、日本の感染「第1波」も、中国・武漢に続いて中心地となった欧州から入った変異種の感染がほとんどを占めたとされる。

 海外からの変異種流入のリスクを水際で防ぐことが重要だ。

 政府は、以前から英国からの入国を原則禁止にしていると説明するが、赴任や一時帰国など限定的ながら人の往来は続いている。

 10月からは入国後2週間のホテル待機などを条件に、全世界から中長期滞在者らの入国を認めた。成田、関西など国際空港の検疫で連日20人前後の感染が確認されている。待機中や移動時の感染防止策と状態確認の徹底が欠かせない。

 気になるのは、欧米で接種が始まり、日本でも初の承認申請が行われたワクチンへの影響である。

 英政府やドイツの保健相は、変異種にも効果があるとの見方を示しており、今のところは計画通りに進められそうだ。

 ただ、今後もさまざまな変異種に対応できるとは限らない。ウイルスの変異への的確な対応とともに、「3密」回避など基本的な感染防止策を怠ってはなるまい。