国家賠償請求の提訴のため、大津地裁に入る西山さんら(25日午前9時58分、大津市)

国家賠償請求の提訴のため、大津地裁に入る西山さんら(25日午前9時58分、大津市)

 東近江市の湖東記念病院で2003年に患者を死亡させたとして、殺人罪で懲役12年の判決が確定し服役後、再審無罪判決(確定)を受けた元看護助手西山美香さん(40)=彦根市=が25日、滋賀県警や検察の違法な捜査などで損害を受けたとし、国や県に約4300万円を求める国家賠償請求訴訟を大津地裁に起こした。西山さん側は訴訟を通し、冤罪(えんざい)を招いた当時の捜査の実態や公判活動の内情を明らかにし、再発防止を訴えていく。

 西山さんは午前10時ごろ、弁護団とともに大津市の大津地裁を訪れ、提訴の手続きをした。弁護団によると、訴訟では、県に対し、県警が西山さんの迎合しやすい特性や刑事への恋愛感情を利用して「自白」を誘導したとされる点や、西山さんに有利な捜査報告書を検察に送らなかった点などを追及。国については、大阪高裁が17年12月に再審開始決定を出した後、大阪高検が理由なく特別抗告をし、無罪獲得を遅らせたなどと主張する。

 西山さん側はこれらを刑事訴訟法や犯罪捜査規範などに反する「違法行為」とし、逮捕以降、精神的、経済的損害を受けたなどと訴える。

 再審判決後、県警の滝澤依子本部長は6月の県議会本会議で西山さんへの謝罪の意を表明したものの、県警と大津地検は取り調べなど当時の捜査については「不当ではなかった」との見解を示している。

 地裁は3月の再審判決で、同病院の患者の死亡について、そもそも殺人事件でなかった可能性が高いと判断。西山さんの「自白」の信用性や任意性を否定し、取り調べ刑事への恋愛感情を利用して自白を誘導するなどした県警の捜査の不当性を認めた。