大規模改修が行われている延暦寺(大津市)の国宝・根本中堂に、京都市在住の絵師・木村英輝さん(78)が25日、タペストリーを奉納した。孔雀(くじゃく)や象、鯉、人間など多様な生き物が「不滅の法灯」へと向かう様子を、躍動感あふれるタッチで表現している。

「不滅の法灯」と生き物をテーマにしたタペストリーを前に、絵に込めた思いを語る木村さん(右)=大津市・延暦寺

 「生けるものたち何処(どこ)へ行く」と題したタペストリーは、幅18メートル、高さ7メートルの三角形で、孔雀と象を主題とした2枚1対の作品。「キーヤン」の愛称で多くの壁画を手掛ける木村さんが、構想から3年かけて制作した。

 アクリル絵の具で描いた原画をスキャナーで読み込んでデジタル化し、防炎加工を施したターポリン生地にカラー印刷した。美術品の複製に使われる最新技術を用い、絵の具の塗りの厚みや筆遣いまで精密に再現している。

孔雀を主題としたタペストリー(大津市・延暦寺)
象を主題としたタペストリー(大津市・延暦寺)

 タペストリーは、根本中堂を覆う工事用の素屋根内部の側面に、向かい合うように取り付けた。修理現場内に設けた見学施設から鑑賞できる。改修工事の完成を予定している2026年度まで展示する。その後はタペストリーを裁断してトートバッグに仕立て直して販売し、収益は文化財保護のため同寺に寄付する予定という。
 木村さんは「地球温暖化や人工知能、核の問題、新型コロナ禍など、現代のわたしたちを取り巻く問題を、灯火が照らし導いてくれる。感謝の思いを込めた」、水尾寂芳執行(63)は「生き物たちが彩り豊かに表現され、木村さんの灯火への思いを感じる。多くの方に見て頂きたい」と話している。