荘厳 願いと祈り

截金彩色まり香盒 截金彩色盒子(ごうす) 截金彩色続命縷(しょくめいる) 江里佐代子

 細い金箔(きんぱく)の線が自在に広がり、優雅な紋様を描いていく。仏像の加飾技法である截金(きりかね)を、工芸の世界へと広げた江里佐代子(1945~2007年)の作品世界を紹介する「京の至宝Ⅱ 江里佐代子 截金の世界 宙(そら)の輝きを康慧(こうけい)・朋子とともに」が1月2日から、京都市下京区の美術館「えき」KYOTOで開催される。

 截金は数枚重ねた金や銀の箔を線や幾何学模様に切り取り、ふのりを混ぜた膠(にかわ)で仏像や仏画などに貼り付ける技法。日本では飛鳥時代頃に伝わり、平安・鎌倉時代に盛んになった。

截金飾筥「天空燦花(てんくうさんか)」 江里佐代子 1993年 写真:木村尚達
截金彩色ガラス額装「瑠璃放光」江里佐代子 2003年 パラミタミュージアム所蔵
         截金飾筥「憧憬」江里朋子 2019年

 截金技法が途絶えることを懸念していた夫の仏師康慧(1943年~)らの勧めで江里はこの道に入った。仏像を飾ることを「荘厳」という。江里は「お荘厳の仕事は、たんに技術というのではなくて願い、祈りというもの」と語っている。信仰と深く関わり伝承された截金をより広く知ってもらおうと、仏像に加え独創的な紋様の茶道具や額装、飾筥(かざりばこ)などを発表。2002年に截金では3人目となる重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定された。

 まりをイメージした香盒(こうごう)は、青や赤、紫色に塗り分けられた地に施された極細の金箔の線と幾何学紋様が響き合う。手で触れる茶道具には截金の上に漆を塗る技法で、落ち着いた雰囲気を醸し出す。額装や衝立(ついたて)のほか、京都迎賓館の欄間のエスキース(試作)も出品する。

     毘沙門天立像 江里康慧・江里佐代子 2006年 写真:山崎兼慈

 江里と康慧による毘沙門天立像や、康慧と長女で截金師の朋子(1972年~)による釈迦如来坐像も展示され、原点といえる仏像の截金を間近に見ることができる。

 美術館「えき」KYOTOの天木惠子学芸員は「細い線が織り成す荘厳な紋様の素晴らしさを感じてほしい」と話している。


【会期】1月2日(土)~1月24日(日)。会期中無休。
【開館時間】午前10時~午後7時半。1月2日は午前9時半から(入館は閉館30分前まで)
【会場】美術館「えき」KYOTO(京都市下京区烏丸通塩小路下ル ジェイアール京都伊勢丹7階隣接 075・352・1111)。
【入館料】一般900円(700円)、高・大生700円(500円)、小・中生500円(300円)、小学生未満は無料。かっこ内は前売り料金。障害者手帳提示の人と同伴者1人は各200円引き。
【主催】美術館「えき」KYOTO、京都新聞