手の形が指文字になっている千手観音像の絵と、制作した田中道男さん(京都市右京区・コミュニティ嵯峨野)

手の形が指文字になっている千手観音像の絵と、制作した田中道男さん(京都市右京区・コミュニティ嵯峨野)

 京都市右京区の和紙切り絵作家の男性が、聴覚障害者に親しんでもらうため、指文字を取り入れた作品制作を始めた。千手観音像の手を指文字にするなどの表現で、「多くの人が障害者に関心を寄せてもらうきっかけになれば」としている。

 田中道男さん(61)。京都府内の仏像や風景などをテーマに切り絵を手掛けてきた。指文字に着目したきっかけは、昨年末に展示場所を探す中で、社会福祉法人「全国手話研修センター」が所有する「コミュニティ嵯峨野」(右京区)のギャラリーを知ったこと。会場に合わせた作品展示を考える中で思いついた。

 三十三間堂(東山区)の千手観音坐像をモチーフに、約半年かけて約50本の手の形を指文字にした千手観音像を縦90センチ、横180センチの屏風に描いた。手の近くにはひらがな五十音の切り絵も配置。人さし指と中指を立てて動かす「り」など、一部の指文字には矢印も付けた。蓮華の花びらや袈裟のしわなども詳細に表現した。

 そのほか、いろは歌の表も制作。それぞれの文字と指文字をかたどった絵と、文字を頭文字に取る野菜や花などを並べた。「寸(す)」の脇にはスイカ、「由(ゆ)」にはユリの絵が並び、華やかな仕上がりになっている。

 田中さんは指文字を切り絵で表現することに、「切り絵の世界が広がる」と感じているという。「作品の前で来場者と障害者の方が話し合えるきっかけになれば。指文字や手話を身近なものに感じてもらえるよう、制作を続けていきたい」と語る。12月31日までコミュニティ嵯峨野で展示している。田中さんが指導した、府立聾学校中等部の生徒による切り絵を含め計23点が並ぶ。無料。午前9時~午後5時。