太秦の東映京都撮影所で、時代劇の扮装で取材に応じる福本清三さん(2014年)

太秦の東映京都撮影所で、時代劇の扮装で取材に応じる福本清三さん(2014年)

 京都・太秦を拠点に、時代劇の斬(き)られ役を半世紀以上にわたり担い、「5万回斬られた男」の異名を持つ俳優の福本清三(ふくもと・せいぞう)さんが1日、肺がんのため死去した。77歳。兵庫県香美町出身。自宅は京都市。葬儀・告別式は親族らで行った。

 中学卒業後、京都市内の米店で半年ほど働いた後、映画黄金時代の1958(昭和33)年末、15歳で東映京都撮影所(京撮)の大部屋俳優になった。雑兵などの役を経て、63年から立ち回りに絡み、市川右太衛門演じる「旗本退屈男」に斬られたのが、初の斬られ役となった。

 以降、数々の時代劇スターに斬られ続け、体を大きくのけぞらせる「エビぞり」など独特の倒れ方で、ファンに知られる存在となった。「仁義なき戦い」などのヤクザ映画や刑事ドラマといった京撮で撮られる現代劇にも出演しつつ、殺陣集団「東映剣(つるぎ)会」の会長を務めるなど、チャンバラの伝承に努めた。

 2002年にはハリウッド映画「ラストサムライ」の撮影に招かれ、主演のトム・クルーズ演じる米国人を護衛する寡黙な剣士役で存在感を見せた。初の主演作となった14年の「太秦ライムライト」では、太秦を舞台に斬られ役一筋の男の生きざまを悲哀と誇りを込めて演じた。共著に「どこかで誰かが見ていてくれる」など。