米国で20日にバイデン新政権が発足し、自国第一主義を掲げたトランプ大統領が退陣する。世界が分断と混迷から抜け出し、国際協調へと歩みを進められるかが焦点の1年となろう。

 トランプ氏が残した負の遺産の処理は大きな課題だ。

 バイデン氏はトランプ氏が離脱へとかじを切った地球温暖化対策の枠組みであるパリ協定やイラン核合意、世界保健機関(WHO)への復帰を表明している。国際社会と足並みをそろえる動きは歓迎されよう。

 「新冷戦」と称される米中対立も出口が見えない状況だ。

 トランプ政権下では、貿易を巡って高関税を掛け合うなどにらみ合いが続いてきた。バイデン氏は対中政策を優先事項に位置付けた上で、制裁関税を継続し、人権問題でも強い姿勢を取る構えだ。対立は通商問題だけでなく安全保障にも及んでいる。米中の新たな関係を世界が注視している。

 11月に英国で開催される国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)を前に、欧州連合(EU)や中国、日本は、ガソリン車から電気自動車へのシフトなど脱炭素に向けた意欲的な目標を示している。米国も含め、気候変動に立ち向かう機運に期待したい。

 一方、大国の論理や都合に左右されない動きも顕在化している。22日には、核兵器の開発や実験、保有などを全面的に非合法化する核兵器禁止条約が発効する。

 核軍縮が進まない中で、核の非人道性を絶対悪とする国際規範の構築は、核保有国に対する強い圧力になり得る。米国の「核の傘」の下にある日本は、唯一の戦争被爆国として条約に加わる道を模索すべきだ。

 中国は、強権的な動きを強めており、動向が気がかりだ。

 昨年には、香港に対して反政府活動を取り締まる国家安全維持法を導入、さらには国会に当たる立法会の民主派議員の資格を取り消した。中国自身が香港の高度な自治を認めた国際公約「一国二制度」は危機的な状況だ。国際社会が結束して対応することが求められている。

 日中間では関係改善の動きがある半面、沖縄・尖閣諸島周辺への中国艦船派遣を巡って神経戦が続いている。米中対立のはざまで、日本は難しい立場に置かれそうだ。

 日韓関係も、元徴用工問題で戦後最悪とされる状況に陥っている。東アジアの安定に向け、菅義偉政権の外交戦略が問われよう。

 喫緊の課題は、感染拡大を続ける新型コロナウイルスへの対応だ。

 昨年ノーベル平和賞を受賞した国連機関「世界食糧計画」(WFP)は、コロナ流行で深刻な飢餓が倍増し、3億人にも達する恐れがあると警告している。

 欧州や米国ではワクチンの接種が始まっているが、変異種の流入などを見れば、自国のみの対策では限界があるのは明らかだ。ワクチンの全世界への供給などを通じた国際協力が求められる。