新型コロナウイルスの感染拡大に伴う景気の悪化が、世界中で深刻となっている。

 これを和らげるため、各国が打ち出した経済対策の総額は、国際通貨基金(IMF)などへの照会をもとに集計すると、昨年末までに約1460兆円に膨らんでいることが分かった。

 これほど巨額なてこ入れは、異例である。何としても、景気回復につなげなければなるまい。

 今年に入って世界銀行が、今後の世界経済の動向について発表した。2021年、世界全体の実質成長率は4・0%となる見通しだという。

 日本は2・5%の伸びにとどまるが、米国が3・5%、ユーロ圏が3・6%、中国が7・9%の成長をするとみている。

 第2次世界大戦後では最悪となるマイナス4・3%の景気後退だった昨年と比べると、プラスに転じる。

 とはいえ、昨年6月に行われた前回の予測から、0・2ポイント引き下げたことには、注意を払う必要がある。

 新型コロナの流行が、これまでの予想より長引くと考えての下方修正といえよう。

 また、4・0%の成長率は、新型コロナ用のワクチンが、世界に広く普及するシナリオに沿って算出された。これについても、留意しておくべきだ。

 ワクチンの普及が滞り、感染拡大の続く悲観的なシナリオでは、1・6%になってしまうとの見方が示されている。

 感染拡大の防止だけでなく、経済活動の回復も、ワクチン頼みとなっている。景気の「下振れリスク」は大きく、不安定な状況が続きそうだ。

 世界経済の停滞を招かないようにするために、迅速かつ広範なワクチン供給体制を、早期に確立してもらいたい。

 世界銀行は、貧困問題に対処して、発展途上国を成長させるために、資金や技術を提供している国際開発金融機関である。

 新興国や途上国などの多くは、コロナ禍による経済活動の混乱が著しく、昨年の成長率は、前回予測より0・1ポイント低いマイナス2・6%と推定している。

 これらが、経済対策を継続すれば、弱い財務体質に債務が重くのしかかるのは明らかだ。

 「債務危機に発展しないよう、国際社会は強力な行動を起こすべき」との警告にも、耳を傾けておきたい。