武奈ケ岳山頂では、スマホ画面の「ポケストップ」の周りにたくさんのポケモンが出現した(2020年11月21日、大津市)

武奈ケ岳山頂では、スマホ画面の「ポケストップ」の周りにたくさんのポケモンが出現した(2020年11月21日、大津市)

 現実世界と連動してゲーム内に出現するポケモンを探すスマートフォン向け人気ゲーム「ポケモンGO(ゴー)」の国内配信開始から約4年半。ゲーム内でアイテムを手に入れる「ポケストップ」や「ジム」が、街中だけでなく、山の頂上や登山道にも増えている。歩行距離に応じて特典があることから登山者にも人気を集めているが、山で遊ぶ際はリスクもありゲーム会社は注意を促す。

 昨年11月21日、大津市の比良山系最高峰・武奈ケ岳山頂(1214メートル)を訪れると、スマホ画面に水色のリングのようなポケストップが現れ、周りにポケモンが10体ほど出現していた。

 「えー、こんなところで」。山頂は登山口から徒歩約3時間かかるため、他の登山者から驚きの声が上がった。周辺では、山頂に至る登山道の分岐点があるワサビ峠にもポケストップがあった。

 全国各地の有名な山にも、ポケストップなどが増えている。日本百名山の御嶽山(3067メートル、長野・岐阜県境)を10月に訪れると、山頂にジムがあり、すぐ近くにある2014年の噴火災害の慰霊碑にはポケストップが設置されていた。ジムではプレーヤーの対戦が行われており、一定数の登山者が遊んでいることをうかがわせた。ポケストップなどは、富士山や槍ケ岳(長野・岐阜県境)などの山頂にもあるという。

 ポケGOを開発・運営する米国の会社「ナイアンティック」の日本法人によると、ポケストップやジムは、ポケGOや同社の別ゲームの高レベルプレーヤーが推薦し、プレーヤー同士の審査を経て設置される。山のポケストップやジムは、プレーヤーの推薦を受け、設置した可能性が高い。とはいえ到達しにくい山だからといって、珍しいポケモンやアイテムが出現するわけではないという。

 ポケGOが、登山者の人気を集める理由は複数考えられる。まず歩行距離に応じて「ポケモンの卵がふ化する」などのゲーム内特典があるため、長い距離を歩く登山と相性がいい面がある。ジムやポケストップで入手できる「ギフト」というアイテムは、入手先が記録されるため「登頂記念品」のようになることも背景にあるとみられる。

 登山もポケGOもするという30代の男性会社員=京都市=は「山でゲームは無粋だとも思うけど」と前置きした上で「ポケGOがあると景色や達成感以外にも歩く楽しみが加わる。山頂のギフトも『あの山に登った』みたいな感じで友人に贈ったりしますね」と話す。

 一方で登山時に遊ぶ際は注意点もある。険しい場所にあるポケストップもあるので「ながらスマホ」は街中以上に重大な事故につながりかねない。

 ナイアンティックは「登山のお供に使ってくれることは光栄」としつつも「周囲の安全を確認し、立ち止まって操作を」などと注意を促す。

 またゲームアプリを起動させたままだとスマホのバッテリー消費が多くなるため、万一の際の連絡手段を失わないよう「バッテリーセーバー機能」や、アプリを閉じても歩行距離をカウントする「いつでも冒険モード」の使用を推奨している。