病院ではなく、自宅などで亡くなる新型コロナウイルス感染者が増えている。決して人ごとではない。

 全国の警察が昨年3月~12月に扱った遺体のうち、122人が新型コロナに感染していたことが分かった。このうち56人が12月に入ってからだ。

 警察は、病院以外で死亡した場合などに、犯罪の有無を調べるため遺体を検視している。

 12月に亡くなった56人のうち50人は、自宅や宿泊施設、高齢者施設で容体が悪化していた。6人は外出先だった。生前にコロナ感染が確認されていたのは18人。

 自分自身や周囲の人が体調の異変に早く気づくことが何よりも大切だ。と同時に異変に即応できる救急医療体制が求められる。

 しかし、コロナ感染の急増で全国的に病床は逼迫(ひっぱく)し、救急患者の受け入れが厳しくなっている。憂慮すべき事態だ。

 先月、広島市内で陽性が判明した男性が、自宅療養中に亡くなっている。東京でも、立憲民主党の羽田雄一郎参院議員が発熱して3日後、病院に向かう途中に容体が急変し死亡した。

 自宅で待機し療養するのは、リスクが伴うということを、改めて思い知った。

 政府は、無症状や軽症の人が療養する宿泊施設を推奨してきたが、施設の確保が進まないため、8月から自宅療養も可能とした。「自立生活ができる」との条件付きだったが、その後、病床逼迫の恐れのある地域では高齢者の自宅療養も認めるようになった。

 自宅療養者の数は増え続け、12月30日時点で1万3083人に上る。東京では3千人を超え、京都は698人、滋賀21人だ。

 一方で、家庭内感染の増加が懸念を大きくしている。厚生労働省は、家族内の注意ポイントとして、同居の感染者との食事や就寝は別室、トイレや洗面所は消毒、マスク着用などを挙げている。

 しかし、家族の見守りには限界がある。自治体や保健所などがフォローし、容体の急変に備えて病院との連携体制が欠かせない。

 専門家は、心筋梗塞など持病のある人は自宅療養を避けるべきと指摘する。「入院させてほしい」と強く訴えた方がいいとの助言も聞かれる。

 自宅療養をなくすには、何としても早く病床逼迫の感染状況から脱することだ。自分の身を守るためだけでなく、ほかの人に感染を広げない行動が求められている。