スナックで乾杯する常連客ら。夜の街に客足は戻りつつあるが、依然厳しい(彦根市河原2丁目)

スナックで乾杯する常連客ら。夜の街に客足は戻りつつあるが、依然厳しい(彦根市河原2丁目)

 新型コロナウイルス感染拡大の長期化で飲食店が打撃を受ける中、昭和の風情が残る滋賀県有数の歓楽街・袋町(彦根市河原1~2丁目)も苦しんでいる。平日は休むスナックが目立ち、年末年始も団体予約がない。収束後を見据え、経済団体と一体で客層拡大を目指す動きも出始めた。

 べんがらを施した連子格子の店が残り、旧遊里の面影をしのばせる街並みに人通りは少ない。昨年12月29日、スナック「サンローラン」で常連客2組がカウンターで間隔を空け、杯を傾けていた。中学の同級生と訪れた長浜市のトラック運転手の男性(57)は「どの店も厳しい中で感染対策を頑張っている。少しでも助けようと、少人数でなじみの店に行っている」と話した。

 店主の女性(71)は「一時期よりお客さんが戻ってありがたいが、まだコロナ前の半数以下。こんなことは40年間で初めて」と声を落とす。別に営む近くのクラブはより客が少なく、週末でも1日1、2人だけ。やむなく両店の従業員の出勤を3分の1にした。

 県内の感染者は1月7日に53人と過去最多を更新し、飲食店のクラスターも続いた。心配する高齢客の足が遠のき、企業も接待や忘年会を禁止する。平日営業をやめるスナックも多く、ネオンは消えたままになっている。

 加盟店でつくる県社交飲食業生活衛生同業組合によると、コロナの影響で全90店ほどのうち、少なくとも4店が廃業、1月も閉める店が複数あるという。

 袋町では若い女性のスナック人気を受け、大学生と協力してなじみやすさを紹介する無料情報誌を発行したり、会員制交流サイト(SNS)で影響力がある女性を招待したりして新たな客層を取り込もうとしていた矢先の感染拡大だった。

 一方、この流れを絶やすまいとコロナの収束を見据え、袋町を盛り上げて宿泊観光につなげようと地域の経済団体が動き始めた。

 湖東地域の企業や商工会でつくる近江ツーリズムボードは昨夏、夜観光で訪日外国人を取り込む国の事業で採択を受け、袋町を軸にした彦根城下町の活性化に取り組む。

 昨年11、12月は訪日外国人をもてなすための全2回のセミナーを開催。袋町から15店が参加し、経営コンサルタントの講師から「完璧な英語が話せなくても、看板に英語があるだけで安心を与える」と助言を受けた。

 また、ツーリズムボードは「ボトルキープやチャージなど日本特有の料金制が分かりにくい」として来年度、1万円ほどでスナック2、3軒をはしごできる定額チケットをインターネット上で売り出す。日本人も購入対象にし、なじみのない若年層に利用を促す。

 地元の外国人に袋町ではしご酒を楽しんでもらう案内動画も撮影中だ。担当者は「スナック文化は外国人や日本の若者にとって未知の世界。日本家屋のネオン街はアートのような空間がある。魅力発信を通じ、袋町を少しずつ後押しできればうれしい」と話す。