昨季までJ2京都サンガの監督を務めた実好礼忠さん

昨季までJ2京都サンガの監督を務めた実好礼忠さん

 気配りを欠かさない人だった。昨季、J2京都サンガFCの監督を務めた実好礼忠(さねよし・のりただ)さん(48)。取材はずっとオンラインで、冒頭は決まって「皆さん、お疲れさまです」。記者たちと目を合わせるようにパソコン画面をのぞき込む。少し口べたで、抽象的な表現も多かった。でも、どんな質問にも自分の言葉で答えようとする姿があった。


 昨年12月のサンガスタジアム京セラでの最終戦。オンライン取材が終わると、報道陣の控室に姿を見せてくれた。新型コロナウイルスの影響で対面取材や練習見学がほとんどなく、「もっと話がしたかった。サポーターの喜びの声や叱咤(しった)激励も聞けずつらかった」。異例のシーズンを戦い終え、本音が漏れた。

 若手からは「ノリさん」と親しまれた。出番から遠ざかる選手には積極的に声を掛けた。27試合に出場した21歳のGK若原は「ミスをしても、そこから気づき、学べばいいと教わった」と感謝を胸に刻む。

 Jクラブのトップチームを率いるのは初めてで、悩みは尽きなかったろう。コロナ禍でチームの活動停止、連戦に次ぐ連戦…。「あの時こうしておけば良かったと反省することばかり。自分のふがいなさを感じる」。選手を責める言葉は一度も聞かなかった。最後に心残りはないかと問われると、「もっと面白いことを言いたかった」とちゃめっ気たっぷりに語った。

 今季はJ2愛媛のコーチに就く。手ごわいチームをつくってくるはずだ。サンガスタジアムで再会したら、きっと第一声はこうだろう。「お疲れさまです」。優しい笑顔が目に浮かぶ。