新型コロナウイルス感染を収束させる上で大きな脅威と言える。

 英国で拡大し、強い感染力を持つとされるウイルスの変異種が、少なくとも50カ国・地域に広がっていることがわかった。

 日本でも、南アフリカやブラジルでの滞在歴がある帰国者や濃厚接触者計30人以上に変異種への感染が確認されている。

 変異種は米国や欧州での市中感染が相次いで発覚しており、英国では新規感染者急増の原因と見られている。日本国内で拡大すれば医療崩壊につながりかねない。

 流入を食い止めるには、まず水際対策の強化が不可欠だ。

 政府は昨年12月28日に外国人の新規入国を停止。さらに昨日には、11の国・地域との間で例外的に認めていたビジネス関係者の往来も一時停止し、全世界からの外国人の新規入国を原則禁止することを決めた。

 ただ、水際対策をすり抜けた事例もある。変異種の感染が判明したパイロットは空港検疫の対象外だった。英国から入国して待機期間中の男性と食事した2人からも変異種が確認された。

 入国後の感染防止策を徹底し、追跡調査を拡充することが求められる。

 ウイルスは、感染を繰り返すうちに表面のタンパク質が変わるなどして変異を繰り返す。生き延びるための戦略で、この間に感染力や毒性を増すこともある。新型コロナも、さらに多くの変異種が発生する恐れがある。

 ナイジェリアでも新たな変異種が出た可能性もあり、同国の病院関係者は「症状の重い患者が増えている」と危機感を募らせる。

 米製薬大手のファイザーは、独バイオ企業ビオンテックと開発したワクチンについて、英国と南アフリカの変異種にも効果があるとの1次試験結果を出している。

 ただ、外部機関のチェックを受けておらず、有効性には不透明な部分もある。特に南アフリカの変異種に対しては、効果を疑問視する専門家もいる。現時点で過大な期待は禁物だ。

 日本でも変異種は今後、拡大する懸念がある。症例の監視体制を強化し、実態の把握に力を入れてほしい。

 政府は昨日、緊急事態宣言の再発令を京都を含む11都府県に拡大した。

 変異種であっても感染防止策は従来と変わらない。3密回避やマスク着用など基本的な対策に加えて、不要不急の外出や会食を避けるなどの努力が欠かせない。