車いす利用者がスムーズに入浴できるように改修された浴室(大津市大門通・大津湯)

車いす利用者がスムーズに入浴できるように改修された浴室(大津市大門通・大津湯)

入り口(右)にスロープも新設した

入り口(右)にスロープも新設した

 大津市大門通の銭湯「大津湯」は、車いす利用者がスムーズに入浴できるよう、浴槽などを全面改修した。店主の米谷基広さん(44)が病気で倒れて体が不自由になり、バリアフリーの大切さを実感したことがきっかけ。全国的にも珍しい試みといい、「障害の有無に関係なく、誰でも来てもらえる銭湯にしたい」と話している。

 大津湯は1959年に基広さんの両親が創業した。2017年に2代目となった基広さんが窯場を担当、妻智也子さん(47)が番台に座り、接客を担った。しかし、19年、基広さんが突然、脳出血で倒れた。一命は取り留めたものの右半身にまひと言語障害が残った。おかみとしての仕事も板につき始めていた智也子さんも病気になり、左足にまひが生じた。

 営業を休止せざるを得なくなり、日常生活では、夫婦ともに道路や公共施設などで段差や傾斜などが多いことを痛感。介助者に気遣い、家にこもりがちになる人も多いという話も聞き、「気兼ねなく来てもらえる銭湯を自分たちで作ろう」と改修を決断した。

 車いすで利用できるよう、入り口にスロープを設け、ロビーと脱衣所までを全て平たんにした。浴室に入れる車いすを2台購入し、介助者とともに来店し、入り口で乗り換えてもらうことにした。浴槽の縁には、車いすからスムーズに移動し、湯船に入れるよう台も設置。タイルの一部は、滑りにくいタイプに張り替え、車いすの動線を示すマークも付けた。

 昨年11月下旬にリニューアルオープン。料金は健常者と同じで、京都からの車いす利用客もいたという。男女とも浴室の壁には、亡き先代が描いたライオンやヤギ、カメなどが一堂に会した絵画を飾り、智也子さんは「障害のある人にも安全に入ってもらい、同じ空間でみんなと一緒に過ごして笑顔になってもらえれば」と願う。
 営業時間は午後3時~午前0時。水曜休み。大津湯077(523)1158。