大津市役所

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 大津市が、市立保育園の年長園児(6)の性別への違和感や受診歴を、保護者に無断でホームページに掲載していたことが18日までに分かった。両親は昨年末、当該部分の削除を求めて提訴し、市側は18日に削除した。両親は自分の認識する性別などを了解なく第三者に暴露する「アウティング」だと批判し、市に謝罪と経緯の説明を求めている。

 母親や市などによると、園児は2019年4月に年中の4歳児として途中入園。戸籍上は男性だが、自身を女性と認識し、同11月には医師から「性別違和」の診断を受けたため、両親が園側に伝えた。

 市は昨年6月、ホームページで公開した同園の「保育園評価書」の取り組み課題の欄に「園全体で情報を共有し、個別に配慮してLGBT(性的少数者)への知識や理解を職員が深めていくようにする」などと記す中で「(19年度に)入園した4歳児が、自分の身体の性に違和感を感じる訴えをしたことをきっかけに11月に受診された」と併記した。
 評価書に園児の氏名などは記していないが、母親によると、園児は女児向けの服装や所持品を身に着け通園し、途中入園の4歳児も限られていることなどから、「個人特定が可能な状況にあった」という。

 両親は昨年12月25日、市に当該部分の削除を求めて大津地裁に提訴。市は18日午前になって同評価書を削除した。所管する幼児政策課は「15日に保護者から依頼があり、削除した。園児が限定されるような表記があり、非常に申し訳なく、保護者におわびしたい」としている。両親は提訴を取り下げる方針。

 アウティングを巡っては、一橋大法科大学院生の男性が15年、同性愛者であることを同級生に暴露された後、転落死した。両親が大学に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁が昨年11月、「人格権やプライバシー権を著しく侵害する許されない行為」と認定した。

 園児の母親も「アウティングは人の生命に関わる危険な行為。市から謝罪と経緯の説明を受けておらず、原因究明と再発防止を徹底してほしい」と訴える。

 園児は入園以降、性自認などを理由に他の園児から殴られたり悪口を言われたりし、昨年10月ごろから通園できない状態という。市は11月、両親に文書でこれらの加害行為を認め、「もう一歩踏み込んだ支援が必要だった」と謝罪したが、母親によると、園児は円形脱毛症や適応障害が続き、「死にたい」と口にすることもあるという。母親は「幼い子どもでも性別に違和感を持つことがあると広く理解してほしい」と求めている。