通常国会が開会した。

 新型コロナウイルスの流行「第3波」の中、先月初めに臨時国会を閉じて約1カ月半の間に感染者が急増し、11都府県で緊急事態宣言の再発令に至った。

 ようやく再開した国会は、喫緊の課題である感染抑制策への重い責任と、国民の願いを背負っていることを全議員が自覚して臨んでほしい。

 菅義偉首相は就任後初の施政方針演説で、新型コロナ感染の早期収束を優先課題に掲げて「最前線に立つ」との決意を述べた。

 こだわってきた経済重視の文言も今回は封印し、急拡大した感染への焦りが透ける。だが、後手に回った対策への反省の弁はないままだ。国民に営業制限や外出自粛を求めるばかりで幅広い理解と協力を得られるだろうか。

 首相は、国民の「安心」や「希望」の追求を掲げたが、コロナ禍収束への具体策は明確でなく、「説明欠如」は相変わらずだ。政治への信頼を取り戻し、国民の協力を集めて難局を乗り越えようという首相の覚悟が見えない。

 首相は、飲食店の営業時間短縮などの対策徹底で「(感染状況が最も深刻な)ステージ4から早期に脱却する」と表明。ワクチンを「決め手」として接種体制づくりを急ぐとした。

 だが、いずれも感染抑制効果は不透明だ。流行の長期化や強い措置の必要性も見据え、確実に抑え込んでいく手だてを示さなければ説得力を欠くのではないか。

 時短対策などの実効性を高める目的で新型コロナ特別措置法改正案の早期提出も目指す。曖昧だった事業者支援を義務規定にする一方、罰則も盛り込んでおり、深く議論する必要がある。

 コロナ後の「希望」としては、政権肝いりの「グリーン(脱炭素化)」と「デジタル」の推進を掲げた。実現への道筋の具体化が問われよう。

 一方、急速な少子高齢化を支える社会保障改革の全体像や、コロナ対策で膨らむ借金財政の再建にもほとんど言及しなかったのは無責任と言わざるを得ない。

 吉川貴盛元農相の収賄事件を含め「政治とカネ」問題にも直接触れておらず、国民の政治不信は拭えないままだ。

 対処すべき課題は山積している。活発で分かりやすい議論を通じて政策を深めることが重要だ。

 今秋までに行われる衆院選もにらみつつ、与野党の対立軸の明確化も求められよう。