新型コロナウイルスのワクチン接種に関し、各省庁や自治体、医師会などとの総合的な調整を河野太郎行政改革担当相が担うことになった。

 菅義偉首相は「ワクチンは感染対策の決め手だ」と強調する。安全で円滑な接種を実施できるかどうかが問われる。

 政府は、全国民が無料でワクチン接種を受けられるよう予防接種法を昨年12月に改正した。製薬大手の米ファイザーと英アストラゼネカ、米バイオテクノロジー企業モデルナから計1億4500万人分の供給をうけることが決まっている。

 このうち6千万人分のファイザー製は厚生労働省での審査が先行している。承認手続きの上、早ければ2月下旬にも同意を得た医療関係者約1万人に接種し、安全性を確認する。3月下旬以降、重症化のリスクの高い高齢者から順次提供される見込みだ。

 これらのワクチンはいずれも欧米で接種が始まっている。海外の臨床試験では発症や重症化を防いだとの報告があるが、感染自体を予防する効果については不透明な点もある。

 英国などで猛威を振るい、日本国内でも相次いで見つかっている変異種に関しても効果は十分に分かっていない。特に南アフリカの変異種には、効果を疑問視する専門家もいる。安全性や有効性についての情報収集と詳細な検証が必要だ。

 各国の世論調査では、安全性への疑念からワクチン接種を避けたいとする回答が一定割合で見られる。科学的な知見に基づいた正確で分かりやすい情報発信が欠かせない。

 ワクチン接種の実務は各自治体が担う。京滋の各市町村も担当部署を立ち上げるなど準備作業を進めている。ただ、ファイザー製では零下75度の維持が必要となるワクチン保管用冷凍庫の配備や、医療スタッフ、接種会場の確保など課題が多く、手探りの検討が続いているという。

 ただでさえコロナ業務に追われている現場の混乱を防ぐため、政府には適切な手順の指示や支援が求められる。

 ワクチンは承認手続きや接種開始が予定通り進んだとしても、広く一般の人たちに提供されるのは4月以降になりそうだ。

 コロナの感染拡大で医療体制は逼迫(ひっぱく)しており、効果に未知の部分もあるワクチン頼みの楽観論はかえって危うい。従来の対策を徹底することが不可欠だ。