<京の知恵 しあわせの食 小宮理実>

 こんにちは。料理研究家の小宮理実です。立春が近づいてきました。今年は2月3日になります。「季節を分ける」という意味の節分は、今年は2月2日です。イワシの頭をヒイラギに挿して門口に付け、豆をまいて鬼を追い払います。この「節分」の時期にぴったりのお料理をご紹介します。

 春とはいえ、寒さの厳しいこの季節には「かす汁」がことのほかおいしく感じられます。搾りたての新酒の酒かすもお目見えします。昆布だしに酒かすと白みそを溶いた汁に、具材は根菜とお揚げさんをたっぷり。豚肉、サケなどタンパク質の具材はお好みで。乳白色のおわんに若緑のセリをのせると、小さな春が訪れたようで心も弾みます。

 節分に欠かせないのが「イワシの塩焼き」です。脂ののったマイワシは、スダチを添えてさっぱりといただきます。イワシをきれいに食べたら、ヒイラギにその頭を挿して門口に付けましょう。春に向けて魔よけと鬼退治です。

 豆つながりで、しろまめ(大豆)をこんにゃく、根菜と煮た「五目豆」はいかがでしょう。乾燥した大豆なら、一晩水に漬けてふやかしてから、指で押すとつぶれるくらいまで軟らかく煮ます。市販の大豆の水煮を使えばもっと手軽です。コトコトゆっくり味を含ませます。箸休めにも最適です。

 節分の豆を料理に、と考えたのが「節分おこわ」です。いった大豆をそのまま使います。豆ともち米、具材も全て一緒に油で炒め、中華スープを加えて炊飯器で炊きました。ほんのり甘く、もちもちとした食感に、お豆の歯触りが加わりました。

 京都で「せんぎり」といえば「切り干し大根」のこと。「せんぎり大根の炊いたん」は、細切りにしたお揚げさんや干しシイタケ、ニンジンと煮ます。干しシイタケは戻し汁も加えます。好みで豚肉や鶏肉を加えると、ボリュームのあるおかずになります。

 酒かすで作ったデザートが「酒かすと黒蜜きな粉のゼリー」です。酒かすゼリーは牛乳と練乳を加えています。黒糖で作った黒蜜ときな粉を層にして、大人のおやつの完成です。

 春の訪れを心待ちに、行事食を楽しみましょう。(料理講座「幸せ運ぶフクチドリ」主宰)

ホームページ「料理研究家・小宮理実」(https://komiyarimi.com/)


◆小宮理実 こみや・りみ 1971年京都市上京区室町生まれ。おせち料理・行事食研究家。家庭で作る季節の行事食を伝えており、食育活動のほか、商品開発も手掛ける。著書「福を呼ぶ京都 食と暮らし暦」「京のおばんざい四季の味」。