全国盲ろう者協会(東京)にはコロナ禍で取り残された当事者の情報が寄せられている。近畿地方のある盲ろう者は、外部とのただ一つの交信手段だったパソコンがコロナ禍の最中に故障し、情報を得られなくなった。「3密」(密閉、密集、密接)の回避やソーシャルディスタンス(社会的距離)が声高に叫ばれる中、「他者に触れることで意思疎通を図る私たちはどうすればいいのか」という相談もあるという。

盲ろう者の川瀬さんを支援する仲本さん(左)と国領さん=東近江市上中野町・地域総合生活支援センターはんどくさん

 東近江市の地域総合生活支援センター「はんどくさん」相談支援専門員、仲本耕児さん(62)は7月中旬、ヘルパーから「川瀬さんは歩くのがかなり大変」と報告を受け、自宅を訪ねた。ひと袋あれば数カ月もつ塩コショウの大きなパックを3、4袋も買い込んでおり、認知症のような症状と感じた。処方された薬は手つかずで残されていた。

 ヘルパーの国領幸枝さん(57)は7月下旬、ひと月ぶりに再開した川瀬さんと掌書きをしてがく然とする。漢字も読み書きできた川瀬さんが、ひらがなで簡単な言葉を伝えることしかできなくなっていた。

 さみしい さみしい はなしあいてがほしい

 たっち たっち

 4カ月間誰にも訴えることができなかった、心の叫びだった。

相手の掌に指先で文字を書く掌書き

 

(続く)