製茶工場を改装したカフェのうち、コロナ対策で広げた客席スペース。ほうじ茶をいった煙で黒くなった壁(奥)など、当時の作業の様子を感じられる(宇治市宇治・中村藤吉本店宇治本店)

製茶工場を改装したカフェのうち、コロナ対策で広げた客席スペース。ほうじ茶をいった煙で黒くなった壁(奥)など、当時の作業の様子を感じられる(宇治市宇治・中村藤吉本店宇治本店)

ほうじ茶をいった煙の跡として残る黒い壁

ほうじ茶をいった煙の跡として残る黒い壁

柱に白チョークで書きつけた計量数字

柱に白チョークで書きつけた計量数字

 京都府宇治市宇治の茶販売「中村藤吉本店」が、宇治本店に残る明治・大正期の製茶工場を活用したカフェを20年ぶりに改装し、新型コロナウイルス禍でも間隔を空けて座れるように客席スペースを広げた。工場でほうじ茶をいった煙で長年かけて黒くなった壁など、当時をしのぶ痕跡をそのまま見せており、「抹茶スイーツなどを味わいながら、老舗茶商が積み上げてきた歴史も感じて」とする。

 宇治本店はJR宇治駅や平等院に近い宇治橋通に面し、国が選定した重要文化的景観「宇治の文化的景観」を形成する主要な建物。その一部の製茶工場は2001年6月、建物の構造に手を加えず内装を改修し、カフェとしてオープン。製茶で温度をさげたり煙を抜いたりするために天井が高く、レトロで開放的な空間が人気を呼んでいる。

 しかし昨年来のコロナ感染拡大対策で、60席を半分程度に間引いた営業を余儀なくされた。対策を継続しながら元の席数に戻すため、カフェに使っていなかった工場の一部も客席スペースに改めた。20年前の改装では、壁にしっくいを塗って見栄えを重視したが、今回はあえて工場稼働時の土壁をそのままにした。ほうじ茶をいった煙の跡で黒くなった壁や、白チョークで計量数字を書き付けた柱、標語の貼り紙の一部が残った柱がある。

 宇治本店ではコロナ対策として、製茶工場を改装したカフェとは別に、茶商屋敷の広い座敷を使った予約制カフェも昨秋から始めた。6代目中村藤吉社長(69)は「いろんな世代にゆったりと過ごしてもらえるよう、ウィズコロナ、アフターコロナに対応した店作りを進めたい」としている。