大津市で2011年に中学2年の男子生徒が自殺したのはいじめが原因だとして、遺族が元同級生らに損害賠償を求めた訴訟で、元同級生2人に対して計約400万円の支払いを命じる判決が確定した。

 最高裁が、二審大阪高裁判決を不服とした遺族の上告を退けた。生徒の家庭環境の要因などを理由に賠償額は一審大津地裁判決より大幅な減額となったが、いじめと自殺に因果関係を認めた。

 遺族側代理人の弁護士によると、いじめによる自殺は特別な事情がなくても一般的に生じうる、と最高裁が認めるのは初めてだという。今後の被害救済に道を開く司法判断を重く受け止めたい。

 一、二審判決によると、生徒は元同級生らに殴打されたり、ハチの死骸を口にのせられたりするいじめを受け、自宅マンションから飛び降りて死亡した。

 いじめは人の命をも奪う卑劣な行為であることを改めて認識し、根絶への契機とすべきだ。

 いじめ問題を巡っては、さまざまな対策が取られているが被害は後を絶たない。

 全国の小中学校、特別支援学校で19年度に認知されたいじめの件数は61万2千件で、前年度より6万8千件増加して過去最多となった。不登校に至るような「重大事態」も2割以上増えている。

 インターネット掲示板や会員制交流サイト(SNS)への書き込みなど、周囲から見えにくいトラブルが多くなっている。いじめやSOSの発見には、大人のより注意深い見守りが求められている。

 大津の事件をきっかけとして13年に成立したいじめ防止対策推進法は、いじめの早期発見や事実確認を学校に義務づけた。ただ、現場では法の趣旨が浸透しておらず、適切な対応が取られていないとの指摘もある。

 自殺した生徒の父親や民間団体は、教職員のいじめに関する研修や担当教員の配置などを同法に盛り込み、実効性を高めるよう訴えているが改正には至っていない。国会はこうした声に耳を傾け、議論を急いでほしい。

 新型コロナウイルスの感染拡大による感染者や医療関係者の家族への中傷、授業の過密化などによるストレスも心配だ。

 教員が多忙で閉鎖的との指摘がある学校現場には、いじめ防止の授業や相談体制の構築に弁護士らの協力を得ようとする動きもある。子どもを取り巻く環境の改善には、社会の連携が欠かせない。