昨年7月、実用化ルートで実証実験を行った自動運転バス(大津市におの浜4丁目・びわ湖大津プリンスホテル)

昨年7月、実用化ルートで実証実験を行った自動運転バス(大津市におの浜4丁目・びわ湖大津プリンスホテル)

 大津市と京阪バスが進めていた自動運転バスの本年度の実用化計画が撤回された。中型バスによる昨夏の実証実験で接触事故が相次ぎ、現状では「技術的に困難」との見方が強まったためだ。早期実用化の機運はしぼんだが、実際に乗車した市民らからは期待の声もあるといい、地域全体を巻き込んだ取り組みの継続を求める専門家もいる。

 実証実験は、高齢化が進む中山間地の移動手段確保や深刻な運転手不足の解消という官民双方の課題解決に向け、2018年度に始まった。国土交通省や経済産業省の事業で、全国初の取り組みとして路線バスと同型の中型バス(28人乗り)を使用した昨夏の実験で事故が起きた。


 バス実用化計画のルート上のJR大津駅北口-びわ湖大津プリンスホテル間の3・7キロを往復する中、7月に左折時に左後輪が車道脇の縁石に接触し、8月には丁字路をUターンする際に左前方のセンサー部分が歩道の柵に接触。市によると、いずれも運転手が乗車し、原因はそれぞれ「ハンドルが正しく設定されていなかった」「手動運転に切り替えた際、運転手が車幅を見誤った」とした。


 事故について、市は当時、「軽微」として速やかに公表していなかった。事業を受託した産業技術総合研究所も「自動運転システムに異常は認められなかった」との調査結果を示したが、安全性を疑問視する雰囲気が市民の間に漂った。


 実験終了後の10月の定例会見で、佐藤健司市長は「2件の事故で学んだことは短期的に実用化するのは困難ということ」と述べ、本年度内の実用化方針の撤回を表明。市地域交通政策課によると、事業化を見据えた今回のルートは一部で幅員が狭かったり、大きく旋回する場所があったりするなど複雑な道路環境といい、担当者は「乗客の安全が第一だが、自動運転で走るにはまだ技術が追いついていない」とする。


 早期の実用化は遠のいたが、同課の説明では、実験期間中は大人片道210円の有償運行ながら約2千人が乗車した。