中央教育審議会が、小中高校の教育の在り方に関する答申を取りまとめた。

 義務教育を中心とした包括的な答申は2005年以来で、小学校の教科担任制導入や高校の普通科改革を柱に従来の学校教育からの変革を促している。

 大きな改革になるだけに、国は予想される負の側面にも目配りしながら、学校現場に支障が生じないよう丁寧に制度設計を進めてもらいたい。

 答申は、小学5、6年の授業で専門の教員が教える教科担任制を22年度をめどに本格導入するとし、理科、算数、英語を対象教科として例示した。

 教科担任ができれば、全教科を受け持っている多忙な学級担任の負担を減らせるほか、子どもたちの「深い学び」につながるメリットがありそうだ。

 課題は専門性を持つ人材の確保だ。答申は小中学校を一体的にとらえ、双方で教えられるよう教員免許の取得要件を弾力化し、養成課程を共通化するよう提案した。それによって、中学の教員が小学校で教える道が開ける。

 ただ、教科担任制の導入で教員が子どもたちと終日過ごすことがなくなれば、いじめなどを察知しにくくなる心配もある。

 目が届くように少人数化を着実に進め、教員間でしっかり情報を共有することが必要だ。

 理科や音楽で教科担任制を既に取り入れている公立小学校は5割前後に上る。それらの経験を生かしたい。

 もう一つの柱は高校生の約7割が在籍する普通科の改革だ。

 現代的な課題に応じて学際的に学ぶ学科や、地域の課題に取り組む学科を新設し、全ての高校に教育活動の指針となる「スクール・ポリシー」の策定を求めた。

 従来の大学受験を念頭に置いた画一的な教育を見直し、生徒の個性や希望する進路に応じた教育を充実させるのが狙いという。

 ただ、中学卒業段階では目標も定まりにくい。高校が幅広い教養や知的好奇心を育む場であることに留意した教育を心がけたい。

 答申には、ほかにも情報通信技術(ICT)への対応や外国籍の子らの日本語指導充実など、現在の学校課題の解消策を列挙した盛りだくさんの施策が並ぶ。

 それらを学校の創意工夫だけに頼ることはできない。必要な教員を確保し、教育環境を整え、対応が難しい地方への配慮も要る。国の強力な支援が欠かせない。