新型コロナウイルスのワクチン接種の開始に向け、政府は接種情報をリアルタイムで一元管理する新システム導入を打ち出した。

 住民が引っ越した際の接種状況の確認や、接種のためのクーポン券をなくした際の対応がしやすくなるという。

 当初は、日本脳炎や風疹などの接種を記録する各市町村の予防接種台帳を活用する方針だったが、情報登録までに2~3カ月の時間差があるとして新たな仕組みの構築を目指す。接種の場所やワクチンの種類など複数データの入力が想定されている。

 マイナンバーとひも付けて管理することも検討されているが、作業の煩雑化につながるとの指摘が出ている。個人情報保護の観点からも懸念が拭えない。

 ただでさえ感染対策に追われる自治体の現場の混乱を防ぐため、政府は早期に接種管理方法や運用指針を示すことが求められよう。

 接種準備を本格化させている自治体からは、ワクチンがいつどれだけ届くのか分からないため計画を立てにくい、との声が上がっている。

 政府は、3月下旬に想定していた高齢者への接種開始が4月以降にずれ込むと全国知事会などに伝えた。ワクチンの承認が済んでおらず、生産体制も含めて今後の見通しが難しい面はあるが、政府と自治体は情報共有をさらに密にする必要がある。

 京滋の各自治体も、担当部署を立ち上げ、クーポン券の発送などに向けた準備作業を進めているが課題も多い。

 一部ワクチンの保管のために零下75度を維持する冷凍庫は、国から配分を受けて十分な数がそろうには時間がかかる見込みだ。接種を一通り終えるには半年以上を要するとみられ、医療スタッフ、体育館や公民館など接種会場の確保も綿密な調整が必要となる。

 厚生労働省と川崎市が実施した集団接種の初の訓練では、体調や病歴、アレルギーの有無などを問う予診に多くの時間を費やすことが判明した。各自治体はこうした事例を有効に活用しながら、地域の実情を踏まえた課題と解決策を探ってほしい。

 小規模な自治体では、地元の医療機関が少なく、自前で医師や看護師、保健師を確保するのが難しいとの懸念がある。

 円滑な接種の実施には、自治体と病院、医師会が広域的な連携を図る努力が重要だろう。住民への正確で分かりやすい情報提供や相談体制の整備も不可欠だ。