金剛夜叉明王立像(重要文化財 延暦寺蔵 鎌倉時代)

金剛夜叉明王立像(重要文化財 延暦寺蔵 鎌倉時代)

奇怪・精悍 表現力豊か

奇怪・精悍 表現力豊か

 「日本仏教の母山」と呼ばれる比叡山延暦寺には、たくさんの仏像が現存しています。なかでも無動寺明王堂に伝来した四明王像は秀逸です。お顔や手、足が多くある明王像をバランスよく、違和感なく表すことに成功した造形力は、仏師の並々ならぬ技量を感じさせます。

 そのうち金剛夜叉(やしゃ)明王像の正面の顔をみると、なんと、目が五つ! 目を合わせるにも、上を見ていいのか下がいいのか、見るわれわれも困ってしまいます。それにしても、奇怪ながらも違和感がなく造られているなんて、すごい表現力ですね。

 その比叡山をお守りするのが東麓に鎮座する日吉大社です。西本宮と東本宮の、主に二つのお社がありますが、それぞれ巨大な獅子・狛犬(こまいぬ)がわれわれを迎えてくれます。西本宮像(非出陳)の像高は約140センチ、東本宮像は120センチ。全国的に見て1メートルを超えることがほとんどまれな木造の狛犬の中で、この二対の大きさは別格です。日本一かもしれません。また、顔つきには精悍(せいかん)さが表され、たてがみも太く迫力があります。一方、桃山絵画の獅子と同様、どこかコミカルな雰囲気も併せ持つところも魅力の一つです。(大津市歴史博物館 寺島典人)

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 大津市内の10社寺でつくる湖信会設立60周年、日本遺産登録を記念した大津市歴史博物館の企画展「神仏のかたち-湖都大津の仏像と神像」(同館、びわ湖大津観光協会、湖信会、京都新聞など主催)に合わせて、大津の仏教文化を同館学芸員に紹介してもらいます。

 湖信会の10社寺は、浮御堂(満月寺)、西教寺、延暦寺、日吉大社、近江神宮、三井寺(園城寺)、石山寺、建部大社、岩間寺(正法寺)、立木観音(安養寺)です。

 ■企画展「神仏のかたち-湖都大津の仏像と神像」は11月25日まで、大津市歴史博物館(同市御陵町)で開催。月曜休館。有料。