いじめを受け、「私立学校に指導する機関がない」と訴える生徒(手前)と保護者=京都市中京区

いじめを受け、「私立学校に指導する機関がない」と訴える生徒(手前)と保護者=京都市中京区

 「私立高でいじめに遭い、学校の対応に納得がいかない」「私立学校の場合は教育委員会のような学校を指導してくれる機関がなく、治外法権だ」-。そんな悩みが京都新聞社の双方向型報道「読者に応える」に寄せられた。私立校でトラブルに遭った時、どこに相談すればよいのか調べた。

 「学校に保護者や生徒の不満を伝えることはできるが、指導する権限まではない」。京都府文教課が説明した。
 同課は私立学校に関することを所管する。ただ、学校を指導する権限は設置者にあり、公立校なら教育委員会、私立校の場合は学校法人にある。同課は私立学校法に基づく違反があれば指導するが、いじめなど生徒間の問題については解決に向け、話し合いを促す程度しかできないという。
 「ただ、『京都府いじめ防止基本方針』に沿った対応は公立も私立もしてもらう」と担当者。同方針は2013年のいじめ防止対策推進法の施行を受けて定められ、学校に組織的かつ迅速な対応を求めている。さらに被害者が30日以上欠席するなどの重大事態が発生した場合は、組織を設けて調査し、結果を知事に報告することを義務付けている。被害を受けた生徒が納得できない場合は、「府いじめ調査委員会」に再調査を求めることもできる。
 文教課は「同方針では、いじめ解消の定義を『被害を受けた児童生徒が心身の苦痛を感じていないこと』としている。謝罪だけでない誠実な対応をしてほしい」と各校に求めた。
 行政機関以外では、府私立中学高等学校連合会が開設する府私学修学支援相談センター(京都市下京区)が、いじめなどに対応する。カウンセリングや不登校の子どもへの学習支援などを行っており、担当者は「何気ない先生の言葉に傷つくこともある。中立的に学校と生徒・保護者の間に入り、生徒が学校に戻れるようにしたい」とする。
 他には、京都弁護士会も「子どもの権利110番」でいじめや学校との関係などの相談に応じている。毎週金曜日に無料で電話か来所で相談に乗っている。同弁護士会に所属し、子どもの人権に詳しい安保千秋弁護士は「私立校の場合、教育委員会のような指導がないため対応が遅い学校も中にはある。コースによっては生徒数が少なくトラブルも起きやすい」と指摘。「いじめをどう教育力で解決するかで学校の真価が問われる。被害を受けた生徒が不満に思う点を整理し、相互不信をなくす姿勢が必要だ」と強調する。
 ただ、悩みを寄せた保護者はこれらの機関に相談したが根本的な解決には至らず、生徒は退学、転校したという。学校側にも取材を申し込んだが「個人情報は話せない」と応じてもらえなかった。母親は「私立校は相談機関はあっても、指導してくれる機関がない。このことを多くの人に知ってもらいたい。指導できる機関ができてほしい」と訴えた。