今年で発表50年となったビートルズの名盤「アビイ・ロード」は楽曲も素晴らしいが、メンバーが足並みをそろえて横断歩道を渡るジャケットが印象深い。そんな4人がもし日本の横断歩道に立てば、面食らうかもしれない▼なにしろ日本の車は横断歩道で止まらないのだ。日本自動車連盟(JAF)が昨年行った全国調査で、歩行者がいる横断歩道で実際に止まった車の割合はわずか8・6%だった▼道交法は、信号のない横断歩道を渡ろうとする歩行者がいれば、車は一時停止しなければならないと定める。違反すれば反則金も科せられる▼転機になりうるのが、来年の東京五輪・パラリンピックである。歩行者優先が定着している国から訪れた人たちが事故に遭う恐れがあるとして、警察庁は昨年、歩行者優先を徹底する広報や指導強化を全国の警察に通達した▼そのかいもあってか、今年のJAF調査では一時停止率は17・1%と倍増した。とはいえ、まだ8割以上は止まっておらず、滋賀県では11・3%、京都府にいたっては5・0%とワースト3位である▼大阪府は、ドライバーが歩行者に手で「どうぞ」とうながしたりする「ハンドサイン運動」に取り組んでいる。大股で歩くジョンやポールのように誰もが悠々と横断歩道を渡れる日本でありたい。