「多様で柔軟な働き方」を支える足場のもろさが、あぶりだされたということだろうか。

 国内の非正規労働者数が減少に転じた。総務省の統計で2020年平均が前年比75万人減の2090万人となった。女性や高齢者の就労を背景に増え続けてきたが、減少は比較可能な14年以降で初めてだ。

 新型コロナウイルス感染拡大に伴う企業の経営悪化で、立場の弱い非正規労働者の解雇や雇い止めが広がったためとみられている。

 政府は、雇用対策に巨額の公費支援を続けるが、休業補償を得られないまま生活に困窮する人が少なくない。

 緊急事態宣言の再発令による経済活動の停滞で、さらに状況が厳しさを増す恐れがある。当面の生活支援への目配りと併せ、不安定な雇用制度を見直していく必要があろう。

 コロナ禍による影響が強く表れているのが女性である。

 宿泊・飲食業や生活・娯楽サービス業など、大きな打撃を受けている業界で働く比率が高いためだ。20年の非正規労働者の減少数も女性が50万人と男性の約2倍に上る。

 野村総合研究所の推計では、休業手当がないままシフト制の勤務時間が半分以下になったパート・アルバイト女性の「実質的な失業状態」も約90万人に上る。収入の激減による生活難はさらに広がっていると見なければなるまい。

 菅義偉政権も、前政権の「アベノミクス」の成果で「400万人の新たな雇用が生まれた」と誇ってきたが、パートや派遣社員など非正規労働者の増加分が約250万人に上る。

 コロナ禍でそれらが急激にしぼみつつある。景気変調のしわ寄せが真っ先に及ぶ「雇用の調整弁」として使われ続けている現実を浮き彫りにしている。

 政府は昨春以降、経営悪化した企業の休業手当を肩代わりする雇用調整助成金を拡充する特例を相次ぎ導入。休業手当が払われていない中小企業の従業員が直接申請できる「休業支援金・給付金」も新設した。

 雇用維持に一定の役割を果たしてきたといえるが、期間延長が繰り返され、支給決定額は計2・7兆円を超える。21年度にも財源が枯渇しかねない懸念を抱えている。

 いまだ支援策が全体に行き渡っていないのも見過ごせない。

 調査によると、非正規労働者で勤務先からの休業手当のない割合は3割を超え、正社員の約2倍に上る。個人申請できる休業支援金制度も、勤務シフトが減ったパート・アルバイト女性の8割超で知られていなかったという。

 このため、政府は休業支援金の申請期限の延長を決めた。外食チェーンなど大企業の労働者は対象外のため支援を受けられない問題もあり、実態に即した制度改善と丁寧な周知が求められよう。

 感染で休業しても労災給付や失業手当のないフリーランスを含め、働き方で支援の格差が開かないよう制度や待遇を再点検し、保護策を強化すべきだ。