故石牟礼道子さんが原作を手がけ、志村ふくみさんが衣裳監修した新作能「沖宮」(2018年10月20日、京都市上京区・金剛能楽堂)

故石牟礼道子さんが原作を手がけ、志村ふくみさんが衣裳監修した新作能「沖宮」(2018年10月20日、京都市上京区・金剛能楽堂)

 作家の故石牟礼道子さんが原作を手がけ、紬(つむぎ)織の人間国宝の志村ふくみさんが衣裳監修した新作能「沖宮」を、今年6月に改めて上演するため資金を募るクラウドファンディング(CF)が2日、スタートした。

 新作能「沖宮」公演実行委員会が3月末まで、京都新聞社などが運営する「THE KYOTO Crowdfunding」で実施する。返礼品には公演チケットや特製シルクマスクなどを用意している。限定品として志村ふくみさん作の着物もある。公演チケットは原則としてCFを通じてのみ入手できる。

 6月12日午後3時と6時から、京都市上京区の金剛能楽堂での上演を予定している。新型コロナウイルスの感染予防対策として、座席を半数に制限し、ライブ配信も行う。CFの目標金額(935万円)を達成した場合のみ実施される。

 「沖宮」は、2011年の東日本大震災で発生した原発事故で現代社会への危機感を募らせた石牟礼さんが、長年親交のあった志村さんと書簡を交わし、構想を育んだ。

 石牟礼さんの故郷の天草を舞台に、島原の乱で散った天草四郎の霊が、干ばつに苦しむ村のため竜神への人柱になる少女あやを海底の沖宮に導くという物語。石牟礼さんの要望に応え、志村さんが四郎の水縹(みはなだ)色、あやの緋(ひ)色の装束を仕上げた。18年秋に熊本、京都、東京で上演され、チケットは即日完売した。

 志村さんの孫で実行委代表の志村昌司さんは「コロナ禍で世界中が苦しんでいるいまこそ、自然への畏敬の念を込め、生命の再生を願う『沖宮』のメッセージを広く伝えたい」という。