京都市の上告を不受しない決定を受け、会見で思いを述べる男性職員(京都市中京区)

京都市の上告を不受しない決定を受け、会見で思いを述べる男性職員(京都市中京区)

 児童養護施設で起きた性的虐待事件を内部告発するために京都市児童相談所(児相)の相談記録を持ち出し、懲戒処分を受けた男性職員(49)が市に処分の取り消しを求めた訴訟で、最高裁第1小法廷(小池裕裁判長)は1日までに、市の上告を受理しない決定をした。市に処分の取り消しを命じた二審大阪高裁判決が確定した。決定は1月28日付。

 一審京都地裁と二審の両判決によると、男性は児相に勤務していた2015年、左京区の児童養護施設に入所する少女が施設長から性的虐待を受けた事件で、母親からの相談が放置されているとして、少女に関する記録を閲覧したり、印刷して自宅に持ち帰ったりして、市の公益通報外部窓口に通報した。市は機密性の高い記録の閲覧や持ち出し行為が懲戒事由に当たるとして3日間の停職処分にした。

 一、二審判決とも、記録の持ち出しについて公益通報や証拠保全、自己防衛などの目的を認定した上で、市の懲戒処分は「裁量権の逸脱や乱用の違法がある」と判断。市側が上告していた。

 決定を受けて京都市内で会見した男性は「自分は正しいことをやったと信じているので負けるわけがないと思っていたが、裁判は初めてなので不安もあった」と打ち明け、「公益通報者保護法があるのだから、通報者が裁判に訴えなくても法で救われるようにしてほしい」と訴えた。男性の行為が公益通報目的ではないと主張した市に対しても「私が行った公益通報の内容が客観的にどうかを外部の専門家を入れて検証してほしい」と求めた。

 京都市の藤田洋史人事部長は「適切な処分の実施に努めてきたところであり、主張が認められなかったことは残念。今後とも、服務規律違反を行った職員に対しては厳正かつ公正に対処する」とコメントした。