任期満了に伴う高島市長選で、現職の福井正明氏が3選を果たした。同じ日に無投票で現職が3選を決めた東近江市長選とは対照的に、656票差の大接戦だった。

 選挙では、ごみ処理施設の移転問題に有権者の関心が集まった。移転予定地は大雨時に浸水リスクがあるとして、市議会が用地取得案を昨年度に2度否決。移転新築ではなく改築の方が市民負担が少ないと訴えた新人候補の山口知之氏が、急速に支持を広げた。

 同施設は、ダイオキシン類を含むばいじんの不正搬出問題に端を発して3年前から稼働を停止し、市外の業者がごみ処理を肩代わりする異例の状況が続いている。福井氏は移転先を選び直すものの、移転方針自体は変えないとしている。丁寧な説明で市民の合意形成を図り、最優先で問題の解決に取り組んでもらいたい。

 敗れた山口氏とは、年齢こそ8歳の差があるものの、ともに地元育ちで県庁出身。福井氏が市長1期目に山口氏を副市長に起用した経緯もあり、もともと立ち位置は近い。

 中長期的なまちづくりに関して2人の目指すところがどう違うのか、選挙戦でははっきり見えなかった。新型コロナウイルス「第3波」のまっただ中で個人演説会の自粛を余儀なくされるなど、政策を語る機会が少なかったせいもあろう。ただ、若い世代や新住民にすれば、違いが分からないまま市政の継続か刷新かと突きつけられて戸惑ったのではないか。

 県北西部5町1村が合併して2005年に発足した高島市では、市役所本庁舎の位置を巡る地域対立が長く続いた。13、17年と連続当選した福井氏が庁舎位置を決着させたものの、旧町間の対立のしこりが今回の激戦の背景にあると指摘する声もある。

 これまでも、選挙が終わるたびに融和が期待されてきた。同市初の3選市長には、一体感の醸成へより一層の努力が求められる。

 北陸新幹線の敦賀への延伸開業を控え、北陸経由で首都圏とつながることに市民の期待が寄せられている。仕事と休暇を兼ねて滞在する「ワーケーション」向けに、琵琶湖畔の風光明媚(めいび)な土地柄を市民挙げてPRしようとの声もある。

 旧町村の個性や知恵を持ち寄り、磨き、高め合いたい。まちの未来を4万8千の市民の対話で描き、県内市町で最も進む高齢化、加速する若者流出といった課題に取り組む。市長にはその先頭に立ってもらいたい。