伊藤若冲の弟・白歳筆の「牛頭天王図」。伊藤家の中で大切にされてきたという(京都市中京区・宝蔵寺)

伊藤若冲の弟・白歳筆の「牛頭天王図」。伊藤家の中で大切にされてきたという(京都市中京区・宝蔵寺)

 江戸時代中期の絵師伊藤若冲の弟・伊藤白歳(はくさい)直筆の軸「牛頭天王図」が若冲菩提寺の宝蔵寺(京都市中京区裏寺町通蛸薬師上ル)に寄贈され、6日から初公開している。白歳は、若冲の隠居後は家業の青物問屋を切り盛りしながら作画を楽しんだとされ、独自の感性で描いた彩り豊かな作品を間近に見られる。

 北区の矢谷眞紀子さん(79)が50年ほど前、伊藤家とゆかりのあった家系の女性から譲り受けて以来、手元で保管してきた。「名品を自分一人で抱えていていいのか」との思いがあり、宝蔵寺には女性の墓もあることから、安心して後を託せると考えて寄贈を申し出た。

 昨年6月の譲渡後、汚れや折り目による破損の修復が行われ、今月初めに寺に納められた。若冲作品に詳しい福田美術館(右京区)の岡田秀之学芸課長によると、軸には「伊藤」の印のほか白歳の本名である「宗巌(そうごん)」の印があり、また全体の雰囲気などから白歳の作であることが分かるという。

 岡田課長は「プロの作品ではない稚拙さがあるが、牛頭天王が座る岩肌の色使いが特に面白い」と評価し、「伊藤家の中で牛頭天王への信仰があり、祇園祭の時などに掛けていたのでは」とみる。

 初公開を前に、矢谷さんは「疫病を防ぐ神である牛頭天王の軸が新型コロナウイルスの収束にもつながれば」と話し、小島英裕住職は「不思議な縁によって寺に迎えられたことに感謝したい」と喜ぶ。

 展示は11日までの午前10時~午後4時(午後3時半受け付け終了、9日は休み)。有料。