公正なルールに基づく自由貿易圏が、広がっていくことにつながりそうだ。

 英国が今月になって、環太平洋連携協定(TPP)への加入を正式に申請した。

 日本も参加するTPPは、貿易自由化の恩恵を得るため、農産物や工業製品の関税を撤廃か削減するとともに、知的財産の保護などに関する通商ルールを定めている。

 2018年に、日本はじめカナダ、メキシコ、シンガポール、オーストラリアなど、太平洋沿いの11カ国間で発効した。

 英国が加入すれば、それが12カ国に増える。TPPによってできた経済圏が、さらに拡大する。

 英国自体は太平洋に面していないが、TPPにはカナダなど英連邦に含まれる国々が、すでに参加している。加入申請は、歓迎してよいだろう。

 英国が、欧州連合(EU)から離脱して約1年というタイミングで、今回の申請となった。

 EUと自由貿易協定(FTA)を結ぶ交渉が、昨年末に合意に至ったこともあり、今後は独自の通商戦略を展開し、離脱の成果とする狙いがあるようだ。

 ただ、TPPは、中国も昨年、署名した東アジアの包括的経済連携(RCEP)と比べて、関税の撤廃率や、貿易と投資のルールの自由化水準が高いとされる。

 申請を受けて始まる加入交渉においては、こうした条件を進んで受け入れてもらいたい。

 TPPには、最近になって中国の習近平国家主席が参加したい意向を表明したほか、韓国や台湾なども高い関心を寄せている。

 これらの国・地域から加入申請があった場合も、TPPを意義あるものとするには、知的財産の保護だけでなく、国営企業の優遇禁止といった通商ルールを堅持しておく必要がある。

 英国の参加が、TPPの経済圏にもたらす効果は、単なる加盟国の増加と、圏域の経済規模拡大にとどまらない。

 TPPは一時、発効のめどが立たなくなった。世界一の経済大国である米国が、自国第一を掲げるトランプ政権となって、締結交渉の枠組みから離脱したからだ。

 先日、就任したバイデン大統領も、加入には慎重な姿勢を示しているが、ゆかりの英国が参加すると話は違ってこよう。

 現加盟国は、米国が将来的にTPPの枠組みに復帰することを見据えながら、英国との交渉に臨むべきである。