全国の自治体が学校の先生のなり手不足に頭を悩ませている。

 2019年度に行われた公立小学校の教員採用試験の競争率が、全国平均で2・7倍と過去最低になった。佐賀、長崎両県など12の自治体では2倍を下回った。

 教員を採用する教育委員会は、年齢制限の撤廃や大都市に試験会場を設けるなど、受験しやすい制度を導入しているが、受験者の奪い合いになっているのが現状という。

 21年度からは小学校の35人学級化への移行が始まり、教員がさらに必要になると見込まれている。情報通信技術(ICT)を活用した授業が本格化するなど、学校に求められる業務も増えている。

 受験者減少に歯止めがかからず優秀な人材が確保できなければ、教育の質にも影響が出かねないと指摘されている。競争率低下の要因を調べ、教員志望者を増やす取り組みにつなげる必要がある。

 採用試験の競争率は近年、低下傾向にある。第2次ベビーブーム世代への対応などで1980年代に大量採用された教員が退職期を迎え、補充のために採用数を増やす動きが続いている。

 ただ、教員の大量退職はピークを越え、2019年度試験での採用数は10年ぶりに減少した。それでも、競争率が過去最低になったのは、教員を目指す人が減っていることを示している。

 競争率の低迷を受けて文部科学省は、大学で小中両方の教員免許を取得する場合に必要な教職課程の単位数を減らすなどの対策を打ち出した。他業種で働く教員免許保有者の特別選考を行っている自治体もある。

 だが、20年3月に国立の教員養成大学・学部を卒業した人の教員就職率は57%にとどまっている。

 その一つの要因は、教育現場の厳しい勤務環境にある。多忙で休みが取りづらい「ブラック職場」とも言われ、学生らが教職を敬遠する動きにつながっているとみられている。

 文科省は公立校教員の残業の上限を原則「月45時間、年360時間」とする指針を策定するなど、働き方改革に向けた取り組みを進めているが、現場の負担軽減に結びついているとは言い難い。学校や教育委員会はどこに要因があるのかを点検し、教員のやりがいを高める職場づくりを進めてほしい。

 中学、高校の教員採用も受験者が前年より3千人以上減るなど、人材確保は厳しさを増している。教職を目指す若者が意欲を持てるような環境へ改善を急ぐべきだ。