京都市内での放置自転車の撤去作業の様子。昨年6月から作業中であれば返却に応じるようになった(市提供) ※画像の一部を加工しています

京都市内での放置自転車の撤去作業の様子。昨年6月から作業中であれば返却に応じるようになった(市提供) ※画像の一部を加工しています

 京都市の放置自転車対策が、実は一部緩和されていた-。従来は持ち主が目の前にいてもトラックに積まれた時点で「アウト」だったが、市民の苦情もあり、昨年から撤去作業中であれば返却するよう対応を変えたという。市街地のほぼ全域を即時撤去の対象とする全国的にも厳しい市の放置自転車対策。効果を上げる一方、撤去や保管にかかる経費が財政を圧迫しており、市は見直しを迫られている。

 市は1985年度に自転車放置防止条例を制定。2015年度には、放置自転車を即時撤去できる「撤去強化区域」を全国で初めて市街地のほぼ全域に広げ、夜間や休日の撤去も強化した。同区域では自転車が一部分でも道路にはみ出していた場合はすぐに撤去の対象となり、返してもらうには保管所で2300円の撤去保管料を払う必要がある。

 緩和したのは撤去作業中の対応だ。市によると、従来は作業中に持ち主が撤去に気付いても、トラックに自転車が積み終わっていた場合は返却に応じてこなかった。この対応に市民から専用コールセンターなどに「厳しすぎる」との意見が寄せられており、昨年6月から作業中であれば持ち主の要請に応じて返すように変えたという。

 市自転車政策推進室は「以前は2トントラックで撤去していたため、いったん積むと取り出すのが大変だった。2018年度から軽トラックに変え、取り出しやすくなったことも影響している」と説明する。

 京都市の放置自転車を巡っては近年、対策の効果で撤去台数が減ったことに伴い、課題も浮上している。市によると、2019年度の撤去台数は約4万1千台と、ピークだった10年度の半分以下に減少した。ただ撤去に回る範囲や作業負担は変わらないため、1台当たりの撤去保管経費が増え、2019年度は1台につき約4700円の経費を要した。撤去保管料や放置自転車の売却による収入を充てても年間約1億円の支出が必要で、厳しい財政事情に響いている。

 これを受け、市は撤去回数や作業員の削減のほか、放置台数が多い市中心部を集中的に回るなどの見直しを検討。さらに10月には現在2300円の撤去保管料を3500円に値上げする構えで、2月議会に条例改正案を提案した。

 市自転車政策推進室は「経費削減に取り組んできたが、これ以上賄いきれず、撤去保管料を値上げせざるを得ない」と理解を求める。一方で「道路の安全性や景観の維持のため放置自転車対策は重要。即時撤去の対象範囲や基準については、これからも変えることはない」と強調する。